太宰さんはあの(？)美人さんが嫌いなようです。【文スト】

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「と、言いますと？」

「其方と太宰が同じ前職というのは悉知しているが
太宰とはどの様な関係だった？
ああなる前はどの様な奴だった？」

「…………上司と部下。
プライベートでは親しい親友でした。

毎晩、他愛のない話、仕事が上手くいかない文句、最近流行っている物の話。

彼は迚優しい人で、今もそうです。
あんなに彼が怒っているのは
私が彼に酷い事をしてしまったからです。
一生謝っても、命を捨てても
絶対許してはくれないでしょう。

でも、彼が許さないのは彼の優しさが生む事でもあります。
私は彼が今ごろ許していたらそれだけの
薄っぺらな優しさだと、思っています。

彼が幾ら頸を絞めようが怪我をさせようが
その行動が有る限り、その優しさが有る限り、


私は彼を嫌いにはなれません。

………彼は、心が脆いんです。
何時もヘラっとしていますが、
押すと崩れていくドミノの様に、心が弱いんです。


私が…………壊してしまったから。

…彼は孤独の海をさ迷い、溺れています。
彼を救うことが、私がここに入った
理由の一つでもあります。」


「…………そうか。」

「話が終わったなら、失礼します。」

私は立ち上がり、この静まりかえった静寂の部屋
を抜け出す為のドアに向かった。

ドアノブに手を掛けた。

「……あと一つよいか？
何故、太宰は言葉で解決しようとしない？」

………彼は言葉で解決なんて出来ませんよ社長。

彼の言葉は彼の行動とその場の状況によって
形作られた物。

それで補われていたから、
いざとなれば言葉に出来ない……

…………彼は



「……彼は、感情表現が出来ないんです。」


そう言い残し、社長室から身体を解き放った。

.玖→←.漆

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