太宰さんはあの(？)美人さんが嫌いなようです。【文スト】

.參拾肆 ページ34

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「…………」

遮光カアテンを開けると、眩しい光があった。
自分の服の袖を見れば、濡れていた。
あれから、1時間はたったのだろうか。
涼しい風に当たろうと、窓を開けた。

「これは………」

窓を開けると網戸がある。
その網戸の外側からテープで白い手紙が貼られていた。


『修治へ』

黒いインクでそう書かれていた。
“修治”とは手紙での自分の名前だ。
あの女と手紙のやり取りをする時に使おうと
昔に決めたのを思いだす。
なら、あの女からの手紙だ。

網戸を開け、テープを剥がした。
手紙は濡れていないし、テープもまだ使えそうだった。
最近貼ったのだろうと、推測した。

封を切ろうと手紙を裏返し、罰点印に手を掛けた。


「…………止めよう。」

そう言って、自分のズボンのポケットに終う。
読む気にはなれなかった。
恐怖などはなかったが、好奇心もなかった。

なら元は、何も無いのかもしれない。
感情表現が出来ないなら、感情は無いのかもしれない。
でも、あの女に嫌悪感はあるのだから
やはりあるのだろうか？
人間は感情などなければいいのだと、
何度思ったことか。
感情がなければ言葉も行動もない。
何も、毎日何も無く生きれるのだ。

然し、感情がなければ私たちは死んでいるだろう。


「…………矛盾。それが全て。」


あの女がもう目の前に現れないと思うと
自分は今まで何をしていたのか、分からなくなった。


常にあの女を恨んでいた気がする。
常にあの女を嫌って、他の人に無理矢理な
笑顔を使っていた気がする。


「常に、常に………」


常に、4人での思い出に縋っていた気がする。

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