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.貮拾玖 ページ29




「自分で考えて下さいよ?
私は意地悪ですから。」


その、無邪気な笑い方も、
声も、話し方も、
好きな場面は…と言う時に、髪を耳に掛ける変な癖も、


全部知っていた。
彼女といると心が落ち着いた。
夕陽の光が自分の身体を暖かく包む。
夢とは全く違った、嬉しさだった。

「見つけるよ、約束だ。」

「約束なんてありません。
全体、見つけて下さい!!でないと
幸せになる方法が分からなくなります。」

そうだな、と心の中で呟いた。


「A!久しぶりだな、元気だったか!」



「お父さん?!何故此処に……」

お父さんと言われた人の方へ向くと
Aと似た優しいそうな顔を持っていた。

「否、森さんと他の人達とも会議を
しに、来たんだよ。
森さんは知ってるよね?」

「え、えぇ…」

今日は取引先との会議と聞いた筈…
なら、この人は…でも顔を知らない…

「今日、会議が終わって、森さんが
Aちゃんをうちに預けてみない?って言われてね。
どうだい?君が良いなら、今すぐにでも
準備するが……」


「えっ……?」

まさか、ポートマフィアに来るのか?
そんな疑問が浮かんだ。
然し、預けるとはどういう事だろうか?
何か彼女に、有ってはならない事でもあるのだろうか?

「………お父さんがそう言うなら…?」

「本当にいいのかい?
Aに聞いているんだが…」

「心配性くらい娘にも分かりますからっ。
お父さんが心配なら仕事に身が入らないでしょう?
それが心配です。」

「あららっ、言われてしまったな、あはは。」

陽気なお人だ。こういう人は部下から
好かれるのだろうか。

「…もしよければ私が送りましょうか?
私はポートマフィアの幹部をしております、
中原中也と申します。」

「おぉ、君が中原君か!森さんから
何時も聞かせて貰っているよ。男前だね。」

「いえ、とんでもないっ。」

「謙遜しなくともよいのに。
さぁ、連れて行ってやってくれ。
私は、Aの荷物を運ばせるよ。」


寝ているエリス嬢と
Aを連れて、車に乗った。

『貴方とずっと笑ってたい。』



「……なら、せめて俺の隣で笑ってくれないか?」



そう、アクセルを踏み乍、小さく呟いた。

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加奈 - 気になるんですが。 (2020年6月18日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
黒木 - tomo☆さん» たまたま思い付いてバッと書いただけなので名前はなかったのですが、つけるとしたら『翹望』でしょうか。意味はひたすら待ち望むことです。ちなみに『翹望』の詩の下の部分は『残光』です。(詩ではないです。) (2016年9月23日 23時) (レス) id: 30aec25ac4 (このIDを非表示/違反報告)
tomo☆ - すいません、拾漆にでてくる蝶の詩の題名はなんですか。 (2016年9月20日 15時) (レス) id: da2441fb80 (このIDを非表示/違反報告)
黒木 - 華京院アリスさん» ありがとうございます。私も初めて小説を書いるので、アドバイスが出来る立場ではないですが、感動などを相手に伝えたいならそのような本や歌、映画などを参考にして書いています。かといって真似をしてはいけないので、毎日詩を書いています。お役にたてれば幸いです。 (2016年9月13日 16時) (レス) id: 30aec25ac4 (このIDを非表示/違反報告)
華京院アリス(プロフ) - はじめまして!読ませていただきました。感動しました(T . T)私も小説書き始めたんですが、こんな感動的な文章、書けません!もし迷惑じゃなかったらアドバイスとかもらえたりしますか?何度見てもいい文章ですね!更新頑張ってください (2016年9月12日 21時) (レス) id: 270ea87993 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒木 | 作成日時:2016年8月24日 19時

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