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70話 走る少女、近界民。 ページ24

取り敢えず本部まで走ろう。


急がなければ私の居場所が奪われてしまう。


走れ


走れ


途中で本部に何かがぶつかったようだが、走る足は緩めない。


走れ


走れ


トリオン体だから疲れは感じないはず。


なのに身体が重く感じるのはきっと気のせいで。


足がもつれて何時ものように走れないのも、


何故かわからないけど涙が出てくるのも、


トリオン体なのに息が切れてきたのも、


全部全部気のせいだ。


「っあ。」


何かに躓いた拍子に身体が倒れる。


「なに…」


身体を起こせば周りにはたくさんのトリオン兵。


大方、先程の本部への攻撃で各個撃破から戦力を一方面に集中させているのだろう。


見たことのないトリオン兵もいる。


その数およそ10匹。


「私の、邪魔を…」


こんな雑魚を倒してる場合ではない。


今1番優先すべきは本部へ向かうことだ。


「悪いけど、遊んでいる暇はない。」


彼女が呟いた瞬間トリオン兵たちが一斉に彼女に向かって飛びかかる。


【トリガー解除】


【覇剣 起動】


「燃やし尽くせ傷つける魔の杖(レーヴァテイン)。」


刹那、眩い光とともに爆風が発せられる。


周りの家は瓦礫と化し、


周りのトリオン兵も一気に燃える。


いや、跡形もなく消える。


灰、さらには塵1つ残さず。


もうもうと蒸気が湧き上がる中Aは立っていた。


彼女の周りは大きく凹み、地中の配管や鉄骨が剥き出しになっている。



傷つける魔の杖(レーヴァテイン)とは邪神ロキが創り出したと言われる神器。


正確には剣なのかすら分かっていない。


勝利の剣、炎の剣、人々の思う神器傷つける魔の杖(レーヴァテイン)とはそういう存在である。



しかし、彼女のそれは最早剣とは言えない。


ゆらゆらと動き、たまにその姿を変える。


色は赤黒く、しかし次の瞬間には白銀に、また金色にも変わって見える。


それが彼女全体を覆い周りに確かな力を放っている。


そしてそれを纏う彼女の姿はまるで…









「近界民…」


許せない。


そう呟いて彼女は…


彼女はまた走り出した。


何かから逃げるように。








玖島Aの足下には水たまりが広がっていた。


そこに写っているのは禍々しい姿をしたAだった。

71話 父の気持ち。→←69話 深読みで。



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ピヨ丸(プロフ) - サさミさん» ゆで卵 (2017年11月23日 18時) (レス) id: 48f784300c (このIDを非表示/違反報告)
サさミ - サさミです。応援してます。私の作品でも是非コメントしてね。ゆで卵(笑) (2017年11月22日 21時) (レス) id: df5b65dd8b (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - めっちゃ面白いです更新楽しみにしてます! (2017年11月5日 19時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ丸(プロフ) - ありがとうございます。気付くのが遅くてすみません。更新は本当に遅いですが、それでもよかったら楽しんでいただけると嬉しいです。 (2017年10月31日 21時) (レス) id: 2c9238a28f (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - とても面白いです!これからも更新頑張ってください(´∀`)応援しています! (2017年10月24日 20時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピヨ丸 | 作成日時:2017年8月27日 13時

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