68話 前兆現る食卓で。 ページ22
昼になった。
布団に潜り込んだ後眠りに落ちるのに少し時間がかかった。
しばらくトリオン体でいたせいなのか、
もしくは精神的、または体が睡眠を求めていないのか。
どちらにせよ玖島にとっては珍しいことだ。
それでも意識が薄れゆく中天井を見上げて行く時間はしっかりと進んでいた。
下では林道さんの呑気な声が聞こえたし、宇佐美ぱいせんの寝坊して走って行ったと思われる音もした。
相変わらず陽太郎が起きるのは遅かったが降りてこない私の様子を見にきてくれた。
なんやかんやで少し経つと眠くなってしまい、今に至る。
迅さんは玉狛にはいないようだった。
昨日の夜から何も食べていないので、お腹は空いていないが食べない訳にもいかない。
少し前のような不健康の極みのような生活はもうこりごりだ。
「ご飯食べに行こうかな。」
寝間着から部屋着に着替え多少なりとも髪の毛を梳かす。
そのまま部屋を出て下へ向かう。
「おはようございまーす。」
「遅いぞA!レイジ特製のスパゲッティーが覚めてしまったではないか!」
「へいへい、すんませーん。」
寝起きに陽太郎のテンションは多少なりともキツイものがある。
「よっこらせっ、と。」
ゆっくり椅子に腰をかければ林道さんが可笑しそうに笑った。
「なんですか。」
ジト目で睨めば、ごめんごめんと言いつつもアレは絶対に反省していない。
「いやー、ちょと前のAからは考え付かないような行動だったからねー。」
「え、っちょどういう?」
「そうだな。Aはボーダー入隊直後は引きこもっていたからな。」
すかさずレイジさんが傷を抉る。
「やめてくださいよ。あれ、一応私の中でも結構な黒歴史になってるんですよ...」
もう思い出したくない。
切実に。
っていうか覚えてないで(必死)
賑やかに声が響く食卓。
しかし急に窓の外が暗くなった。
「っ!何?」
パッと外を見れば本部の方が暗くなっている。
「大規模侵攻が始まるぞ。」
林道さんの声が重く響いた。
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ピヨ丸(プロフ) - サさミさん» ゆで卵 (2017年11月23日 18時) (レス) id: 48f784300c (このIDを非表示/違反報告)
サさミ - サさミです。応援してます。私の作品でも是非コメントしてね。ゆで卵(笑) (2017年11月22日 21時) (レス) id: df5b65dd8b (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - めっちゃ面白いです更新楽しみにしてます! (2017年11月5日 19時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ丸(プロフ) - ありがとうございます。気付くのが遅くてすみません。更新は本当に遅いですが、それでもよかったら楽しんでいただけると嬉しいです。 (2017年10月31日 21時) (レス) id: 2c9238a28f (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - とても面白いです!これからも更新頑張ってください(´∀`)応援しています! (2017年10月24日 20時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピヨ丸 | 作成日時:2017年8月27日 13時