検索窓
今日:7 hit、昨日:3 hit、合計:27,708 hit

65話 玖島の嫉妬は醜い。 ページ19

パッと目が覚めた。


覚醒していく脳に次第に体が追いついていく。


決して目覚めがいい方ではないのだが、


目を開けば其所がどこか分かるくらいには脳は覚醒しているみたいだ。


見渡せばそこは玉狛の隊室。


所々私の荷物とダンボールが残っている。


耳をすませば鳥の鳴き声が聞こえる。


素敵な朝だ。


部屋は遮光カーテンを締め切っているので暗いが、きっと外は素晴らしい晴天なのだろう。


日向ぼっこやら散歩やらをしたらどんなに気分がいいことだろう。


しかし、そんな気分にはなれそうもない。


昨日、彼らを見ていて猛烈に何かが湧き上がってきた。


あのままあそこにいればそれが外に溢れ出てしまいそうで。


思わずここに帰ってきてしまった。


「なんだったんだろう、あれは。」


少し洒落た倒置法を使ったぼやきも、


たった一人しかいないこの部屋では誰にも届かず消えていく。


それが余計に虚しく思えて、


無性に人肌恋しくなった。


彼らは今頃学校にいるか、誰か大切な人と一緒にいるのだろう。


その瞬間、あの時と似たものが溢れ出てきた。


そうか、これは、


そういうことだったのか。






私は彼等が、みんなが、


「羨ましい。」


ああ、羨ましい。


ライバルと切磋琢磨凌ぎ合い、


日々成長できることが。


守りたいものがあることが。


生きる意味があることが。


自分のすべきことが分かっていることが。


周りに沢山の人がいることが。


自由なことが。



全部、全部、全部、





全部、



「羨ましい。」





この溢れ出るものの正体は、



醜き「嫉妬」だ。




パズルのピースは当てはまらず、



どこかでパキッという小さな音がした。

66話 目覚める玖島。→←64話 微笑み。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ピヨ丸(プロフ) - サさミさん» ゆで卵 (2017年11月23日 18時) (レス) id: 48f784300c (このIDを非表示/違反報告)
サさミ - サさミです。応援してます。私の作品でも是非コメントしてね。ゆで卵(笑) (2017年11月22日 21時) (レス) id: df5b65dd8b (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - めっちゃ面白いです更新楽しみにしてます! (2017年11月5日 19時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ丸(プロフ) - ありがとうございます。気付くのが遅くてすみません。更新は本当に遅いですが、それでもよかったら楽しんでいただけると嬉しいです。 (2017年10月31日 21時) (レス) id: 2c9238a28f (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - とても面白いです!これからも更新頑張ってください(´∀`)応援しています! (2017年10月24日 20時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピヨ丸 | 作成日時:2017年8月27日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。