黒トリガー２つを片手に忍田本部長の義娘はボーダーの「顔」とチートな存在と化します。。【ワールドトリガー】

63話 熟練者と未熟者。。 ページ17

模擬戦闘が始まってから少し経った。


やっぱり空閑くんは強い。


緑川もなかなかの戦いぶりだ。


しかしそれをも圧倒するのは...


(経験の差、か)


私には一番足りないであろうそれを


この場で一番多く持っているのは


間違いなく彼だ。



「三輪隊の人、」


「ん？なんだ？」


「経験って武器になるのかな？」


急な質問に戸惑う彼。


悪いことをしたなとは思うけど


悪いとは思わない。


「まあ、なるんじゃねえの？」


人によるだろうけどさ、と笑いながら付け足す
彼を見ると、


なんだか自分が無性に哀れに思えた。




始めは緑川が2ー0で勝っていた。


しかし、明らかに後半からの空閑くんの動きが変わった。


経験が緑川以上に浅い私には良く分からないが、


何か空閑くんに作戦があったのだろう。


そしてどうも彼は、私が思っていたより怒っているらしい。


そこからはあっという間だった。




【10本勝負終了 勝者 空閑遊真】



負けた彼はなんというのだろうか。


これも経験になったと笑うのだろうか。


空閑を恨むのだろうか。


きっと彼は前者なのだろう。


私にはわからない。


一体どうすればそんな風に潔く笑えるのか。


戦闘を終えた彼を見て思う。





「ああ、羨ましい。」


無機質な機械音が響く。

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