60話 面白いことの定義。 ページ14
入隊日からいくらか経ち、私はブースにいた。
とはいっても、私はブースの中に入ろうとはせずに端っこでちょこんと座っていた。
やることが無いのなら対戦ブースに行け、と父さんに言われたからだ。
別にここに来てもやることができるとは思えないけれど。
なお、ここに来てからの私の日課はソファーでの昼寝である。
にしても先程から人がわらわらと増えて来て居る。
人混み独特のざわつきが五月蝿い。
「あー、もう帰ろうかな。」
こんなにも人が多くては敵わない。
頭が痛くなる。
のっそりと立ち上がり出口の方へ足を向けた。
特に面白いこともなくすぎた時間はどうしようもなく薄く感じるのが当たり前。
現に私のここ最近の記憶はペランペランだ。
「ああ、面白いこと起こんないかな〜?」
ふと前を見上げれば独特な白い頭の人物が歩いてくる。
ああ、彼だ。私の平和でつまらない日常を壊してくれる今日の担当は。
「あ、A先輩こんにちは。」
「こんにちはですー。空閑くん。」
おお、よく見れば隣には三輪隊のツンツン頭の人がいる。
そしてその横には見慣れたチビが。
陽太郎はなんでいるんだ?
まあいっか。
『確かに三輪隊の人と玉狛の近界民隊員が一緒にいる』
というのは面白い内容ではある。
だがしかし、私が求めているのはそういう面白いことではないのだ。
一丁前に父さんの前で啖呵を切ったが、
実際問題、私はそういう派閥についての興味はないし、
玉狛に入ったのだって結局は迅さんが決め手だったりもする。
だからこういう本部に盾突くような、
それこそこんな状況下でのゴシップ性に富んだネタなど要求していないのだ。
私が求めるのはもっと
「いつもとは違う」
「自分が参加しなくてもいい」
「見ていることが楽しいスリル」
それなのだ。
つまりこれとは正反対なのである。
というわけで、私は一度停止させた足を再び動かした。
もう此処には来る気は無い。
だってすることがないから。
「ちょっと、お前あの時迅さんといた...」
はて、あの時とは三雲くんたちを助けた時か?
風間さんたちと戦った時はバッチリ素顔だったけど、
今は丁度マスクをしているのであの日と同じように見えなくはないだろう。
あ、でもバレるのは面倒臭いな。
「...さあ?」
これくらい言っときゃいいだろう。
さあ諦めてかえろうぜ!
「あの黒トリガーで俺と戦ってくれ!」
はあ?
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ピヨ丸(プロフ) - サさミさん» ゆで卵 (2017年11月23日 18時) (レス) id: 48f784300c (このIDを非表示/違反報告)
サさミ - サさミです。応援してます。私の作品でも是非コメントしてね。ゆで卵(笑) (2017年11月22日 21時) (レス) id: df5b65dd8b (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - めっちゃ面白いです更新楽しみにしてます! (2017年11月5日 19時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ丸(プロフ) - ありがとうございます。気付くのが遅くてすみません。更新は本当に遅いですが、それでもよかったら楽しんでいただけると嬉しいです。 (2017年10月31日 21時) (レス) id: 2c9238a28f (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - とても面白いです!これからも更新頑張ってください(´∀`)応援しています! (2017年10月24日 20時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピヨ丸 | 作成日時:2017年8月27日 13時