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「さんじゅう…はちど、ごぶ?」
割れるような頭痛で起こされたと思いきや身体を上手く起き上がらせることすらできなかった。流石にまずいと思って熱を測ったらこれだ。
体温計をそのまま放り投げるようにベッドに置くと這いずるように薬箱がある棚へ向かう。体がだるすぎて思うように動かず薬箱をひっくり返してしまう。転がった薬の瓶をかき集める元気もなく、目的の薬を見つけるとほかの薬は床に転がしたままにした。
何か食べた方がいいのは分かってたけど、お腹が空いてるのか空いてないのかふわふわしていてわからなかった。第一作る元気など微塵も持ち合わせていないので薬を飲んでベッドへ戻る。佑亮に連絡しなきゃな、と思いながらトークの画面を開いたところで私の意識は遠のいた。
目を覚ますと日が暮れかかっていた。さっきよりはマシになったけどやはり頭痛がする。お腹は空いた気がするけど、料理をする気力はなかった。佑亮のトーク画面が開きっぱなしのスマホを見れば、なんだか楽しそうに仕事をしている様子が送られてきている。流石に佑亮に頼むのは申し訳ないか、と思って頑張って自分でご飯を作ることにした。簡単にちょっとだけおかゆを作ってちびちびと食べていると家に行っていい?というメッセージが来ているのに気づいた。熱もきっと下がってないだろうし、移すといけないなと返事を打っていると玄関の鍵が回る音がした。
「A〜、きちゃった!」
玄関から元気な声、佑亮だ。のそのそと立ち上がって玄関の方に向かうとニコニコした佑亮が両手を広げて立っていた。
「んー、おかえり」
そう言いながら佑亮に抱きつく。だんだん肌寒くなってきたこの季節、佑亮がひんやりしていて気持ちいい。
「え、ちょ…A熱くない?」
「ちょっと熱出ちゃった」
「ちょっとじゃないでしょ!測った?」
「朝だけ、ね」
言い終わる前にベットに連行される。佑亮は枕元に置きっぱだった体温計を見つけ素早く差し出すと測って!と言いキッチンへ消えていった。
測り終わるのをまっているとキッチンの方からえ、なにこれ!と大きな声が聞こえてくる。すっかり忘れてたけど朝薬箱を落としてそのままにしていたんだった。
「薬、のめる?」
「うん、ありがと…」
佑亮が水の入ったコップと薬を持ってきてくれる。受け取ると佑亮は私の隣に座った。そして私から体温計を受け取ると静かに言った。
「まだ全然熱あるじゃん、こういう時くらい頼ってよ…ね?」
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時