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｢これは……あかんな｣
こういう仕事だからこそ日課にした毎日体重計に乗ることをこれほど恨んだことは無い。予感はしてたけど現実を受け入れられなくて3回くらい測り直した。完全にあかんやん…華のセブンティや…原因を考えてみたけど何をどう考えてもひとつしかなかった。
彼女の作る飯がうますぎる。
ほぼ同棲している彼女は大学に行って、バイトもしてるのに俺が家に帰れば必ず美味しい出来たてのご飯が待ってる。魔法使いかなんかかなって思う。簡単なものでごめんねって言われる時もあるけど、それにしたってAの料理はうまい。野菜炒めた、とか肉焼いた、とかでなんであんな美味くなるんやろな。果たしてどうやって減量をするかが問題になってくる。マネージャーさんにも
｢晃一くん、わかってるとおもうけど…｣
って言われてしまった。メンバーには超笑われた。あいつら今度しめたるからな。もんもんと悩みながらも家に着くと、明かりがついた部屋からAが
｢こーちゃんおかえり！ご飯、ちょうど出来たよ｣
って笑顔で言った。今日も仕事してきてよかったって心の底から思う。味噌汁のいい匂いがしてきてテーブルを覗きに行くと、カバン置いて手洗ってきてからね〜、とキッチンから声がする。Aは俺のオカンか。
きちんとAに言われた通りカバンを置いて手を洗ってきた。丁度いいタイミングでAがおまたせ〜と言って料理を運んでくれる。運ぶのを手伝って向かい合わせに座ると手を合わせる。
｢｢いただきます｣｣
｢はぁ〜ホンマなんでこんな美味いん｣
味噌汁をすすると自然にはぁっとため息がでた。この味が体にしみる。
｢こーちゃん、おじさんみたい｣
｢毎日美味い飯作って待っててくれるおかげで俺オッサンになってまうわ〜｣
｢え〜じゃあ今度すごいまずいご飯つくっちゃおうかな〜｣
｢なんやねんそれ｣
あひゃひゃ、と笑いながらも箸を進める手は止まりそうにない。おかわりいる？と聞かれた声に無意識的に頷きかけたが、マネージャーのことを思い出して一瞬迷った。
｢んーん、大丈夫。｣
｢そっか、なんか珍しいね｣
空になったお茶碗に視線を落として答えると、ちょっと戸惑ったようなAの返事。チラッとAの顔を見ると曇ったような表情をしている。
｢帰ってくる前に佑亮にパン貰ってん！そのせいかな〜｣
なんて咄嗟に嘘が出た。変なプライドで体重のことは言えなかった。Aもそれには納得したようだった。
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(；；)励みになります！ (2018年10月4日 22時) (
レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです！！ 更新待ってます！！ (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ | 作成日時：2018年8月25日 5時
