検索窓
今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:44,672 hit

.01_02 ページ16

.02




食べる量をいつもより減らしたせいか、1週間で体重はすっと減っていった。次の撮影まであと1週間あるし、このまま行けば十分落ちるやろ。

落ちていく体重と共に、Aの元気も最近無くなっていた。そりゃあもう同棲している様なものだし、嫌でも毎日顔は合わせる。何かあったのか聞いてみても最近課題が多くて、と答えるだけだった。



「Aが最近あからさまに元気ないんやけど、何が原因やと思う。」
「え、それ俺に聞くん!?本人に聞いたらええやん」
「聞いたけど、まだ何か隠してんねん」

収録の休憩時間、隣で歌詞の確認を念入りにしている太陽に聞いてみた。晃一が何もしとらんならAちゃんの言う通り大学忙しいんやろ、と言われた。何かをしたと言うならば、飯の量を減らしたくらいであとは何も思い浮かばなかった。減らしたと言っても今までが食べすぎていただけだから普通に戻ったというだけで、特に気にとめる項目でもなかった。

「腹減ったし、早う帰りたいなぁ〜」
「そんなこと言うて、晃一さっきも食べてたやん。また衣装さんに怒られるで」
「せやから頑張って減らしてるやん!Aの飯が恋しい…」
「ほんま家帰ったらご飯作って待っててくれるのええなぁ〜羨ましすぎる」
「せやろ、ほんでむっちゃ美味いねん」
「なんや惚気かいな〜ええなぁ〜」

晃一にはAちゃん待っとるからな、早う終わらせて帰ろうや、と太陽がやる気を見せるといつも以上にスムーズに収録は終わった。メッセージで今から帰るとAに伝えると、短く了解の返事が返ってきた。今日の晩御飯に思いを馳せながら、足取り軽く帰宅した。

「A、ただいま〜」
「おかえり、今日早かったね」
「もうめっちゃ腹減っててん。せやから急いで帰ってきたわ」
「ふふ、もーちょっと待っててね」

そう言うとAはまたキッチンに戻っていった。何かを炒める音と、美味しそうな匂いに座って待っていることができない。居てもたってもいられずキッチンに覗きに行く。

「なーに?つまみ食いはだめだよ」
「まだそんなことしてへんやん!」
「あ、まだって言った〜」
「ちゃうちゃう!言葉のあややん〜」
「そういうことにしといてあげるから、お箸とか運んで?」
「はーい」

そう言うとAは綺麗に料理を盛り付けていく。本当にどこまでできた彼女なんだろうとふとした瞬間によく思う。向かい合わせに座ると今日も手を合わせていただきます、と言った。

.01_03→←.01_01



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
136人がお気に入り
設定タグ:超特急 , 短編   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。