太刀川隊のケンカップル事情 4【出水 公平】

喧嘩 131 ページ5

『ってことで、しばらくは早く帰ることにする』


作戦室で出水に全てを説明した。
いつもの模擬戦もしばらくは中止だ。



「1人で平気なのか？」


『うーん‥‥まあ、多分だけど。任務に支障は出さないって』



謎の沈黙が続く。
話したいことはたくさんあるのに、何故か話せない。
出水が謎のオーラを放っているから。


『もしかしてだけど‥‥怒ってる？』



ピクッと出水の身体が反応する。
図星か。でも私がこいつを怒らせるようなことしただろうか。



「俺、弟いるって聞いてなかったんだけど？」


『あれ、言ってなかったっけ』



そんなことか、と半ば呆れ気味にはなるが言わない。
思い返せば弟がいるとは言ってなかった気もする。



『兄弟って言っても、血は繋がってないし‥‥まあ、言う必要ないでしょ』


「それでも普通言えよ」


『何‥‥もしかして拗ねてんの？』



驚いた。こいつがわかりやすく拗ねている。



「まあ、いくらクズでもデブでも彼女だし？知りたいとは思うだろ？」


『お前、照れ隠しのつもりか？幼稚すぎるだろ』


「本当のこと言って何が悪い。俺はお前のこと、全部知りたいって思ってるけど？」


『‥‥‥気持ち悪い』


「照れんなよ」




出水が私の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。

『照れてない！！』とその手を払った。




「別に寂しくねぇから、好きなだけ行ってこいよ」


『彼氏のセリフとは思えねぇな』

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