十一話 ページ11
山を登っていく内に、雲行きが怪しくなる。
緑で覆い尽くされていた周囲は水彩絵の具みたいに黒さが足された。
ぽたり、と額に水が落ちる。
それを皮切りに、弱い雨が一気に降り注いだ。
最悪なのは他の隊員も思ったようで、一旦戻ろうという話になった。
悪天候の中、災厄とも言える特級と戦うのはこちらが悪手だし。
だから戻ろうと、......引き返した。
____刹那だった。
目の前で、オジサンの身体が綺麗に真っ二つになったのは。
オジサンの臓器とかも見え、胃から喉へと何かが駆け上がってくる。
落ち着け。......落ち着け。
深呼吸した時間、およそ0.2秒。
すぐに絶を応用した隠で気配を絶つ。
「ほう、1人姿を消したな」
目の前に居たのは腕四本、四つ目の両面宿儺だった。
前世でも実際に飛騨高山にて存在していたらしいが、こんなに邪悪な扱いではなかった。
いま目にして分かる。
____これは本当に『呪い』だ。
「ふむ。水音が聞こえないあたり逃げ技なのか、……それとも気配を消しただけなのか」
私のことを言っているのだとすぐに分かった。
同じ隊に居た呪術師は私が逃げていないことを知っている。
そしてそれが顔に出てしまっていることにも、悔しいことに気づいていた。
だから両面宿儺は分かっていて言っている。
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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください楽しみにしてます (2022年8月30日 1時) (レス) @page18 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - この展開からどうなるんだぁー。楽しみすぎて夜しか眠れない。 (2022年8月28日 21時) (レス) @page16 id: 6bb8b6637d (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 面白くて好きです!更新は体に気をつけてです! (2022年8月27日 19時) (レス) @page12 id: 6bb8b6637d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:_ | 作成日時:2022年8月24日 22時