…だったのに【ポケモン剣盾】

いつも 目の前 ページ8

時々





ジグザグマとエレズンを擦りながら

雨と夜が開けるのを待つ

ロトムが言うには夜明けと共に雨は止むらしい





野宿や徹夜には慣れているので大丈夫だけれど

この子達が少し心配だ





ふと









ゾロアークが私に目を合わせてきた

人が来たということだろう

頷くことで返事をし

姿を隠してもらう





次第に雨とは違う音が聞こえ

傘で顔は見えないけど

高身長の人が



















私の目の前で止まった





偶然かとも思ったが違う

視点もこちらに向いている









「そこに誰かいやがります？」





…その中途半端な敬語が気になるのだが

今はそれどころじゃない





ジグザグマとエレズンが起きたかと思えば

目の前の人に擦り寄り

ゾロアークのイリュージョンが解けてしまった

ゾロアークは一瞬のうちにイーブイへと化けたが





「やはりここにいやがりましたか」





傘が閉じられ

その人の顔が見える





ガラルジグザグマの様な髪はとても目を引き

白に近い肌色は健康的には見えない

けれどメイクにはとても合っている

顔が隠れているのが勿体ないほど整っていて





タレ目に縁どられた瞳はゾロアークに少し似た

綺麗な色だった

その目は優しく細められ

その白く細長い指はポケモンの頬を撫でる



















綺麗だ









それが第一印象





『よく分かりましたね』





意外にも





「俺は耳がいいんです」





最初に話しかけたのは私からで

自分でも少し吃驚する





この人の手持ちポケモンには見えないので

やはりここで可愛がられているポケモンだろうか

態々、雨の中探しに来たところ

ゴツイ見た目に寄らず優しいのかな





「ジムチャレンジャー…では無いようですね」

『はい、雨宿りをしているところてす』





ここで初めて目を合わせると

目の前の人は訝しげに首を傾げ

ロトムスマホを取り出すと

なにかの記事を私に見せだした





私も首を傾げ、画面を覗き込めば

船での爆発事故の写真が載っていた

私が乗っていた船に違いない





目の前の人が写真をタップすると

それは動画だったらしく

１０秒ほどの短い動画で





『……あ、』





煙でよく見えないが

子供をかばい

私らしき人物が海へと落ちるのは確かに確認できた

いつの間に撮られていたのだろうか





「君で間違いないようですか？」

『……はい』









変な空気が流れた

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