え、やめてください ３【忍たま】

トリップ 怖い夢 ページ19

そうだった





三郎さんと雷蔵さんの部屋に寝泊りしてたんだ

勢いよく起き上がったらそりゃ三郎さんなら気づく





三郎「どうした」





貴方を斬ったなんて言えない

いくら夢だったでとさえ





頬に冷たいものが流れ視界が良くなり









三郎「…泣いているじゃないか」





頬に伸ばされた手で涙を拭われる









その切なそうな顔が夢の中の表情と繋がった





三郎さんの布団に移り

その意外と厚い胸板に額を押し付け

両手で寝巻きを掴んだ





心臓の音で少し安心する









三郎「怖い夢でも見たのか？」









うん、貴方を斬る怖い夢を見た





三郎さんを失うのが

こんなにも悲しいなんて思わなかった





抱きしめられるとあの子守歌が聞こえてくる

また不思議と落ち着いていき





眠気が来るまで子守歌は聞こえ続けた

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





いつもは





明るくなる前に起きるのに









兵助「あ、起きた」





辺りは随分と明るかった

…なんで兵助の声が聞こえるのだろうか









三郎「おはよう」





すぐ上で三郎さんの声が聞こえる

顔をあげればとても近くに三郎さんの顔があった





そこで三郎さんの寝巻きを掴んでいるのに気がつき

勢いよく起き上がった





『え、あ、…の……ご、ごめんなさい！』





周りを見れば５年生が揃っていた

私と三郎以外は忍び服を着ている









え、今って何時！？





『あ、今日は休みか…』





だからといっても三郎さんは私が掴んでいたせいで

起きることが出来なかったはず、絶対に





…なんて申し訳ないことをしたんだろう

夜だって色々と声を掛けてくれたのに

なんにも答えないで泣きながらしがみつくなんて









三郎「……くくッ」





下げていた視線を上げれば

喉を鳴らしながら笑っている三郎さんがいた





三郎「お前…赤くなったり青くなったり

焦ったりと忙しい奴だな……ハハッ」





そんなに面白い顔をしていたのだろうか





八左衛門「こんなに焦ってるA初めて見た」

勘右衛門「ほんとほんとーめっずらしい」

雷蔵「ふふ、可愛いね」

兵助「何かの芸かと思った」





け、芸って…





三郎「ほら、取り敢えず着替えてこい」





慌てて布団を整理し









『本当にすみませんでした』





謝罪しながら布団を持って部屋を目指した

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