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「…大貴は、そう言うと思ってた。だから言わなかった」
「なんでだよ」
「大貴に私が必要だからじゃない、私に大貴が必要だから。だから行かないの」
こんなに好きなのは、俺の方だと思っていた
会いたくてたまらなくなったり、苦しくなったり、抱きしめたくなったり…そんなこと思うのは俺だけだと思っていた
「2年、だよ?」
「……」
「帰ってくる頃には、大貴は就職も決まってて大人になってて、新しい彼女とかできてて…」
「できるわけねぇだろ」
迷っている、それが分かった
伊野尾ちゃんから話を聞いた瞬間に分かった
彼女は、行きたいんだ
やってみたいんだ
ピアノしかなかった子だから
でも不安で、安全な道を選んでいるんだ
伊野尾ちゃんが言っていた、学校側には考え直してくれと言われていること
「今ならまだ間に合うよ」
「……」
「今しか、ないんでしょ」
「……」
「俺はバカだから、1人の女の子愛することで精一杯なんだよ。その子から抜け出せなくて困ってんだよ。一生、その子のことしか愛せないって思ってんだよ」
泣き出しそうな彼女を抱きしめる
俺が居なくても、大丈夫だ
彼女なら、きっと
もっと綺麗になって帰ってくる
もっと大人になって、俺なんかよりずっと成長して帰ってくる
笑って、俺の元に帰ってくる
「毎日電話して? 絶対会いに来て」
「約束する」
彼女の背中を押し続けられる俺で居たい
彼女の夢を応援できる彼氏で居たい
小さく呟いた「ありがとう」は、彼女が俺から離れていく合図だった
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koto_arioka(プロフ) - えつさん» いえいえ! (2019年1月12日 23時) (レス) id: 5e0eece957 (このIDを非表示/違反報告)
えつ(プロフ) - koto_ariokaさん» ありがとうございます^^ 嬉しいです! (2019年1月7日 11時) (レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
koto_arioka(プロフ) - すごく素敵なお話でした(*´ω`*)♪ (2019年1月7日 1時) (レス) id: 5e0eece957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えつ | 作成日時:2018年11月16日 21時