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もう何回も通った音大に対峙する
今日はAちゃんに会いに来たわけではないけれど
「ぁ、大ちゃ〜ん」
呑気に笑って駆けてくる伊野尾ちゃん
背も高く、それ相当なイケメンで外面的には負けている気しかしていない
「なぁに? 急に呼び出して〜」
「俺は、正直伊野尾ちゃんが羨ましかった」
「へ?」
高校生のくせに、やりたいことがあって
その夢に向かっていった伊野尾ちゃんを偉いと思って
でも、負けているなんて認めたくなくて
それで、バカにすることしかできなかったんだ
「伊野尾ちゃんはすごいと思うし、俺には何もないから…だから、好きな人くらい手離したくないんだ」
伊野尾ちゃんは黙って俺の話を聞いて、ようやくふわっと笑った
「なになに〜嫉妬してたの? もぉ〜そういうんじゃないから! 次のコンクールに向けて色々話してただけだよ」
俺の肩に手を置いて、軽く笑い飛ばす
「Aちゃん変わったよ、大ちゃんに会ってから変わった」
「……」
「まだレッスン室に居るよ」
そう言うと、俺に背を向けて駅の方向へと歩いていった
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作者名:えつ | 作成日時:2018年10月30日 15時