魂の唄 ページ7
意識が遠退く中で鬼が何か言っている。
「思ったよりも雑魚だったわね こんな小娘ひとり 今までに殺せなかったなんて
あんたが死んだら 先の男はさぞ悲しむんでしょうねぇ きっと死にたくなる 一石二鳥だわ」
また鬼の笑い声が響く。
私の中の何かがキレた。
「歌の呼吸…参の型…‼︎
四面楚歌」
「何っ…!?」
私を中心に衝撃波が拡がり、歌声が響くと鬼が激しい光と共に消え失せた。
首を絞められていた事もあり、私は意識を手放してしまった。
数刻倒れて居たらしい。
気付くと外が騒がしかった。
二階の窓から当たりを見下ろすと杏寿郎さんや他の隊士達が苦戦している様だった。
街のあちこちで炎が上がっている。
未だ制御しきれない私の力は体力の消耗が激しく、立って居るのもやっとだった。
「杏寿郎さん…」
「〜♪〜♪〜♪」
私は歌を唄った。
その歌は柔らかな夜風に乗って街中に響く。
それと同時に鬼達も悲鳴を上げながら消滅した。
「終わった…」
そして私はまた意識を失った。
鬼の殲滅に時間が掛かり、俺も隊士達の体力も限界に達していた。
これ程まで鬼が居ようとは。
Aは無事だろうか?
あの鬼を倒せただろうか?
「〜♪〜♪〜♪」
夜風に乗って優しい歌声が聞こえた。
すぐ解る。Aの歌だ。
鬼に勝ったのだ!
目の前の鬼達も消滅して行く。
そして驚く事に俺や他の隊士達が負った傷が癒されて行く。
「よもや…!」
こんな事をしている場合ではない。
きっと歌い終えればAは倒れてしまう。
俺たちの傷をAが癒しても、君の傷は残る。
俺はAと別れた店へ急いだ。
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作者名:こあら。 | 作成日時:2021年11月26日 14時