甘くてほろ苦い_6 ページ19
「ん?どういうことだよ」
「ま、首席で入校した降谷ちゃんは、現時点でも成績トップだからなぁ…。
そういうことだろ?トップにはほど遠い陣平ちゃんは──」
「るっせぇよ!」
ニヤリとした萩原の椅子をガタンと軽く蹴飛ばすように反論した松田。
「でも、班長だって成績はゼロといい勝負だもんな」
「まぁ、降谷には負けねぇって思ってはいるけどな?
ただ、俺は警察庁や公安にはあんまり興味ねぇからな」
「そ、そうなんだ」
「へぇ…」
興味、という話とも違うのだが、
強い愛国心を持ち合わせる降谷にとっては、
公安警察という組織に入ることにネガティブな感情があるはずもなく。
初めて聞く話に、各々相槌を打つ諸伏と萩原の横で、
降谷は少し複雑な感情で、伊達に笑みを向けていた。
そんな中、
「…桜庭さんはやっぱり、…刑事課志望なのかな」
「「え?」」
「ん?」
「…」
ポツリと漏れた諸伏の声に、きょとんと似たような顔を浮かべる一同。
萩原の言葉に影響されてか、
彼の視線は何故か、手元のホットココアの缶に注がれていて。
一呼吸ほど間を置いて、
「…動機を考えれば、まぁ、…そうだろうな」
と、口にした降谷。
そして、
「ただ…、身内が関わった事件の捜査に当人が加わることは、叶わない…けどな」
と、いつかの講義で習ったことを復唱するように、
伊達が言葉を付け加えた。
表情を小さく歪めたのは、
彼女自身からも話を聞いている松田だけではなくて。
5人は複雑そうに似たような吐息を吐くと、
配膳が始まった夕食を取りに立ち上がったのだった。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時