クリスマスのざわめきの中で ページ20
────少し薄暗くなった住宅街。
今日は朝からかなり冷える。
天気予報は、晴れ時々曇りという特に気に留めるような内容でもなかったが、
夜になれば雪でも降るかのような、キンと冷たい空気が漂っていた。
寒さからか人の姿はまばらで、
静かに吹いた風が冷たくAの耳を撫でた。
小さな子どもがいるのだろうか。
周囲の住宅の庭には、サンタクロースのモチーフや電飾のケーブルも見えて。
Aはそんなキラキラしたものには一切目もくれず、ただ一点を凝視していた。
「おかえり」
自分にかけられたものではないその声は、物理的な距離よりもはるかに遠くに聞こえ、
Aの耳には、ドクリと心臓が脈を打つ音が大きく響いていた。
肌を刺すような空気の冷たさとは裏腹に、
腹の底には熱く、苦く、静かに荒ぶるような何かを感じ、
一方で不思議とシンと冷静になる思考の中、強く奥歯を噛み締めたA。
Aが視線を向ける先は、白を基調とした高級そうな住宅。
玄関のドアを開けて佇むのは、50代くらいの1人の女性。
そして、その少し後には、脳裏にこびりついて離れないあの男──、斉木の兄の姿があった。
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white12(プロフ) - さゆりさん» 嬉しいコメントをいただきありがとうございます。更新が滞りお待たせしてしまって申し訳ありません。また,体調についてもお気遣い本当にありがとうございます。更新頻度がまちまちで申し訳ない限りですが,引き続きお楽しみ頂けると幸いです。 (2022年8月31日 19時) (レス) id: 5b5db755e5 (このIDを非表示/違反報告)
さゆり - 更新ありがとうございます!これからどうなっていくのかドキドキしています。体調が悪いとおっしゃっていたので、どうぞ無理はしないでお大事にしてください。続きを楽しみにしています! (2022年8月30日 20時) (レス) id: 2b8084ecea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2022年8月4日 18時