3度目の_3 ページ3
「…やっぱりレプリカだったか」
「…だな。かなり複雑な配線になってっけど」
松田は大きく顔をしかめると、
先ほど萩原が零したものとは比にならない大きな舌打ちを零した。
「米花町の事件が1週間前。
…明らかに頻度が上がってやがる…。素人がふざけやがって…」
素人、というのは、爆弾に関することだろう。
爆発物処理班に所属していた面々からすれば、
ほぼ全ての人間は素人であって。
そういう問題じゃないだろう、という状況ではあるが、
萩原もまた、大きく顔を歪めた。
「1ヶ月半前の事件と、1週間前の米花町の事件。
それと今日。
ざっと、1 km圏内ってとこ…か?」
「チッ…。
周囲の人間の犯行の可能性は充分考えてんだ…。
ただ、犯人の手がかりがな…」
そして、もう一度大きく舌打ちをこぼした松田は、
念の為、慎重に萩原からそのレプリカを受け取ると、
鑑識の方へと歩いて行った。
先ほどまで手元にあった爆弾のレプリカの内部を思い返す萩原は、
難しい顔をして、顎に手を当てた。
(…おおまかな構造自体は…、似ているような、気がするんだが…)
そして、
全体が大きくなっていることも然り、
圧倒的に複雑になったそのレプリカ。
本物だとすれば、
威力が増していることが確実だ。
苦々しいため息を吐き、周囲をちらりと見やる萩原。
確か、2件の事件では、
黒いフードの男が防犯カメラに映っていたと佐藤が話していたはずだ。
こういった犯人は、自己顕示欲から、あるいは好奇心から現場を見に来る可能性が大きい。
萩原は刑事ではないが、警察学校でそうした犯罪の基礎は学んでいるのだ。
しかし、避難住民や警官、そして野次馬など、
多くの人々がごった返す中で、それらしき人物を目に映すことは容易ではない。
そして、今更ながら防護服に手をかける萩原。
深いため息とともに、
自身の体に相当の重力をかけていたそれを脱ぎ捨てると、
もう一度ちらりと周囲に厳しい視線を向け、機動隊の車へと戻って行ったのだった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年12月5日 19時