検索窓
今日:6 hit、昨日:14 hit、合計:133,794 hit

最後の夕食_3 ページ10

その頃。


Aは、自室で困った顔と怒った様な顔を繰り返しながら、
もやもやし続けていた。


代表挨拶のような大役ではないとはいえ、
明日の卒業式の準備作業と確認作業を進めながら、
ため息を零すA。


“明日で卒業だぞ。
卒業したら…、こうやって簡単に話したり出来ないだろ?
変に勘違いしてないで…、ゼロと、…ちゃんと話した方が良いと思うぞ”


“話した方が良いと思うわよ?”

景光の言葉と、塔子の言葉が脳裏に反芻される。

“…春宮だから”

そう言った降谷の言葉も。

(何なのよ…

私だから?
私だから、やっぱり面倒だから手を抜いたってことでしょ?)


道場を出てから、
自分を納得させるように、
諦める様に、
苛立ちを抑え込み冷静になっていたAだったが、
景光たちの言葉で、またふつふつと悔しさと苛立ちが湧き上がっていた。



考え込む様に俯きながら難しい顔をしていたAだったが、

ふと我に返った様な表情ですっと顔を上げると――


『何か…、腹立ってきた…』


と呟いたのだった。




そしてその30分後。
1人食堂に入るA。

萩原たち3人が出て行った直後のことだった。


(…何か、イライラしてきたら、
お腹空いた…)


感情の変化とともに、急に空腹感を覚えたのだ。

そして、
この食堂で食べる最後の夕食とも言える親子丼に、1人、箸をつけ始めるA。

『…ん、美味しい』

Aは、苛立ちからか難しい顔を浮かべていたが、
食事の美味しさに、その表情を緩めた。





そして、その様子を食堂の入り口で偶然目にしてしまったのは、

降谷だった。


自室で、
やはり、様々な感情とともに、
複雑な表情を浮かべて葛藤していた降谷だったが、
Aや、景光と出くわさない様にということか、
少し時間を遅らせる様に、食堂に現れたのだ。


降 「…」


すっとその場を離れ、少し時間を置いて出直そうと、
一旦寮に戻った降谷だったが、
困った様に、気まずそうに眉をひそめていたその表情は、
ふと我に返った様に怪訝な表情に変わった。


降 「…何なんだ...」

そして、それは、
数分前のAと同じ様に、
徐々に苛立ちが混じった様な表情へと、
変わっていったのだった。

友との夜→←最後の夕食_2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (144 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

white12(プロフ) - ra -ra さん» コメントありがとうございます。SNOW DROPは,拙いながらも私自身けっこうお気に入りでして,警察学校組好きが溢れた作品でした。お楽しみ頂けていたなら本当に嬉しく思います。 (2021年5月26日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - やばい。何度読んでも面白い! (2021年5月18日 16時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 燎彩さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!最高と言っていただけて本当に嬉しいです。長くはなりますが、続編 (II)も更新中ですので、もし宜しければお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月23日 13時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
燎彩(プロフ) - 完結お疲れ様でした!語彙力皆無なので一言だけ…最高です!! (2020年1月22日 11時) (レス) id: c873624ead (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - さちさん» 本作をお読み頂きありがとうございました。面白かったと感じていただけてとても嬉しいです。もしよければ続編もお楽しみ頂ければ幸いです。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2019年9月1日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。