勘違い ページ17
そして、降谷が講義棟の周囲を探し始めて数分が経った頃。
『…降谷』
校舎裏で、ふと後ろからかけられた声。
振り向くと、探していた人物。
Aが目の前に、いた。
少し息が乱れている。
Aも、同じく降谷を探していたのだろうか。
降 「…春宮。」
『話があるんだけど』
果たし状。
数日前、降谷がそう表現したような、
あの勝負を挑んできたときのように、
降谷の目をまっすぐ見据えて言葉を投げかけるA。
降 「それはこっちのセリフだ。俺も話が――」
『悪いけど、もう良いって思ってたけど、
やっぱり腹がたつのよ…』
降 「…は?」
やはり、話を聞かない人物。
静かな怒りを交えた様な、真剣な降谷の言葉を遮り、
自分の苛立ちをぶつけるかのように、
Aが話し始める。
『昨日のこと。
あんな風に手加減されて、やっぱり腹が立つって言ってるの…』
降 「…それは、春宮が話を聞かずに道場を出て行くから――」
『話って、何も言わなかったじゃない』
降 「…言葉が、上手く出てこなかったんだ」
口調を強めるも、
感情的にはならず、詰問する様に言葉を紡ぐA。
昨夜の苛立ちは、時間とともに静かな怒りに変わっていた。
降谷のそれと同じ様に。
降 「ヒロの、言った通りだ。
言葉が足りなかったのは認める。
でも、話を聞かない春宮だって…!」
『…それは分かったわよ。
諸伏にも…、塔子にも…、言われたし。
だから、こうして話をしに来たんじゃない。
あんなんじゃ、納得できないから』
降 「…ヒロと話したってことか」
『…だから何よ』
苛立ちを含めた様な、真剣な目で見つめてくる降谷に、
Aも同じく、静かな怒りを携えてその目を見据えた。
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white12(プロフ) - ra -ra さん» コメントありがとうございます。SNOW DROPは,拙いながらも私自身けっこうお気に入りでして,警察学校組好きが溢れた作品でした。お楽しみ頂けていたなら本当に嬉しく思います。 (2021年5月26日 21時) (レス) id: 654daa9564 (このIDを非表示/違反報告)
ra -ra - やばい。何度読んでも面白い! (2021年5月18日 16時) (レス) id: 4001d860f3 (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - 燎彩さん» とても嬉しいコメントありがとうございます!最高と言っていただけて本当に嬉しいです。長くはなりますが、続編 (II)も更新中ですので、もし宜しければお楽しみ頂けますと幸いです。 (2020年1月23日 13時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
燎彩(プロフ) - 完結お疲れ様でした!語彙力皆無なので一言だけ…最高です!! (2020年1月22日 11時) (レス) id: c873624ead (このIDを非表示/違反報告)
white12(プロフ) - さちさん» 本作をお読み頂きありがとうございました。面白かったと感じていただけてとても嬉しいです。もしよければ続編もお楽しみ頂ければ幸いです。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月1日 9時