第７夜：理由 �� ページ21
隼も、そこまでお人よしでもなければ暇でもない。
“精霊の里”以外の託けの任なら何か理由をつけて断ることも考えただろう。
「いえ。“リリアさん”の仰る通り、陸翔さんは使える者なら何でも使う勢いで命じられたのだと思いますが―――
俺もこの任は、やぶさかではなかったのでお受けしました。」
“精霊の里”への届け物の任だからこそ、引き受けたのだ。
初めは不思議そうに首をかしげていたリリアだが、
隼の意図を理解すると、くすくすと笑い出した。
他族の副長が用もなしに他族の里をうろついていては人目も気になるところ。
だが、使いの任であれ正式なアポイントメントをとっての訪問ならば 堂々と尋ねることが出来る。
「わざわざの任、ご苦労様でした。
我が“副長”にもてなしをさせますので、どうぞゆっくりして行って下さいな！」
「ご厚意に、感謝いたします」
隼は照れ隠しをするように、再びリリアに礼をした。
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案内された客間で待っていると、侍女が扉を鳴らす。
「お待たせいたしました……」
その後ろには、凛とかしこまった様子のアリアが控えていた。
「鬼の副長とは知友の仲だから、後は僕がする。あんたは下がって良いよ」
侍女からお茶のセットを受け取ると、手際よく隼の前にと並べた。
「使いの任、ご苦労様でした―――」
美しい青紫の模様が描かれたティカップと共に、かしこまった挨拶を並べた精霊の里の副長アリアは、侍女が客間のドアを閉めると共に隼の首に両腕を回した。
「隼――ッッ！！」
「――ッ？！」
受け取ったティカップの中身がこぼれない様に、そっとテーブルに戻す隼。
「危ない、アリア…」
「お茶より、僕とのハグが先だよ」
子犬のように擦り寄るアリアに、隼はポンポンと頭を撫でる。
「隼、僕に会いに来てくれたの？」
「狼男の里長、陸翔さんの遣いで来た」
恥ずかしさを隠すように、視線をそらせた隼の頬を両手で掴むと、
アリアは宝石のような赤い瞳で隼を捕らえた。
「どうして、狼男の里長が、鬼の副長に遣いを頼むのさ…」
「たまたまそこに、俺がいたから」
きっぱりと告げた隼に、アリアは陸翔の性格を思い出す。
大して深い関わりはなかったが、
何度か姉のリリアと里長同士で会合をしている時に立ち会っていた。
「―――……そっか、あの人、そういう人だったね」
思い出して苦笑いを見せるアリアの無防備な頬に、そっとキスする隼。
「嘘。遣い先がここ(精霊の里)だったから、了承した」
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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