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慌ただしく下に降りる｡やば、足もつれそう｡最近走ってないからなあ｡
私に降りた時にはキラーT細胞は既に結構な距離を進んでいて、今にも2人に声をかけるところだった｡
｢よーお、ホノボ……｣
すんでのところで追いついて、力いっぱいキラーT細胞を裏道に引きずりこんだ｡
訝しむ声は聞こえてこない｡間一髪のところで気づかれずに済んだみたい｡よかった｡
｢おい｣
おーっと、こっちは安心できないかも｡なんか空気重い｡ってか圧かかってない?押しつぶされそうなんですけど｡
｢すみませんすみません!いきなり裏道に連れてきちゃって……でもミヤちゃんと好中球さんの邪魔をされたくなかったので｣
この空気から脱するには、とにかく謝りまくるしかなかろう｡明らかに私に非があるし｡
｢腕引っ張っちゃって……ごめんなさい、痛かったですよね｣
体を縮めながら尋ねると、頭上から鼻で笑う声が聞こえた｡何で｡
｢あの程度痛くもかゆくもねえよ｡キラーTなめんな｣
なめてないです、舐めても美味しくないでしょうし｡
こんなこと言ったら私の命終わるんじゃない?やめとこ｡
そういや腕掴んだままだったわ｡離さないと……おお｡
筋肉すごいな｡超ムキムキ!さすがキラーT細胞、選ばれ抜かれただけある｡手を離すの惜しい気がしてきた｡こんなに鍛えてあったら荷物運ぶの絶対楽だよね｡荷物なんかきっと目じゃない、私も余裕で持ち上げられちゃうんだろうなあ｡
｢……おい、全部駄々もれだぞ｣
｢え!?｣
またやっちまった｡思ってることを心に留めておけない、私の悪いくせ｡早く直さないと｡
キラーT細胞は私を見下ろしたまま、尋ねてきた｡
｢お前、俺のこと怖くねえのか｣
｢何で怖がらなくちゃいけないんです?｣
質問の意図がよく分からない｡怖いか?私はそうは思わないけど｡あ、あれか?背でかくてゴツいからとか?
……そういや先輩たち、好中球さんよりもキラーT細胞の方が怖いって言ってたかも｡何でだろ、精鋭部隊でお高くとまってそうだから?でもその精鋭部隊のおかげで世界の平和は保たれてると思うんだけど｡
ふと遥か上の方から笑い声が聞こえた｡もちろんキラーT細胞から｡マジでデカイな｡
｢おもしれえなあ、お前｣
どこらへんがですかね｡訳分かんなくて首をかしげたけど、彼は笑っているだけだった｡……これのどこが怖いんだ?
｢さっき余裕で持ち上げられるとか言ってたよな｡やってやろうか?｣
｢本当ですか!?｣
やったー!とか思いながら両手を広げてその時を待った｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年9月19日 17時
