プランツ・ドール Tomohiro. K

「いいし、ともひろいない方がちゃんと家でご飯食べられるから」 ページ26

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最近、ともひろの様子がおかしい。



「あっくんのとこ、行ってくる」



「え、早くない？また？」



「…はよ行きたい気分やねん。いってきます。今日は迎えに来て」



それだけ。

ここ最近ずっと、ともひろは私より先に家を出ていく。

私より早く起きて、早く準備して。

ミルクだって、また私があげて良いことになっていたのに、そんな隙もないくらい。

理由を聞いても曖昧な返事だけ。

それだけじゃない。

帰ってくるのも遅くて、食事もお店で済ませてきて。

帰ってきたらさっさと寝室に籠っちゃうの。

私が話しかけても反応悪いし、中に入るなんてもってのほか。



『寝たくなったら言うて。それまでは開けへんで』



って、私が一回開けたときなんかすごかった。



『開けへんで、て言うたやんか！何で開けたん！』



そんなに怒らなくてもいいじゃん、ってくらいで。

もう、泣く。本気で泣く。

あんなに懐いて、可愛かったのに。

人間でいう反抗期くらいの年齢のせい？

それとも、自我が育って私が嫌になったとか？

分かんない。全然、分かんない。



「いいし、ともひろいない方がちゃんと家でご飯食べられるから」



一人で呟いて、急に悲しくなった。

ともひろのバカ。

なにあれ、ひどすぎない？

意味わかんないし。

イライラして食べ過ぎて、腹痛起こしながら出勤。

にやにやした編集長が近づいてきた。



「なんですか？気持ちが悪い」



「ひどいなあ！それより…」



「「「誕生日おめでとう！！」」」



パンッ、パンッ、てクラッカーの音。

ケーキを持った先輩が登場。

…ああ、今日誕生日だっけ。



「わっ、ありがとうございます！すみません、編集長」



「ま、誕生日だから大目に見てあげようかな。どうしたの？最近、元気ないね？」



「あ、いえ、何でもないです！ケーキ、美味しそうですね〜いただきます！」



もういいや、自棄ケーキしちゃうんだから。

先輩方からプレゼント戴いて、ケーキはやっぱり美味しくて。

ムカつくから迎えに行かないでやろうかな。

それか、思いっきり早く行ってやるんだから。






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