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パッと携帯を開きスケジュールを確認すると、今週末は結婚記念日だと気付く。
いつこんなもの登録したのやら。
果たして自分でやったのかどうかもよく覚えていないが、しっかりカレンダーにはその文字が記述されている。
智くんとは晴れた火曜日にだけ逢瀬を重ねている。
これといったデートもせず、いつも家に行って、夕飯をごちそうになって、行為に及ぶだけ。
やめればいいのに、ふとしたときにどうしても会いたいと思ってしまう。
今だって、そう。
俺は立ち上がり、寝室のカーテンを開いた。
冬の夜空は星が綺麗に見える。
今夜の月はずっとずっと遠くにあって、時折雲に隠れてしまう。
手を伸ばそうとすれば消え失せて、また振り返れば顔を見せる。
俺を泳がせてるのだろうか。
今この状況が苦しくないと言ったら嘘になる。
明らかに妻への気持ちは冷めきっていて、同時に彼への気持ちが溢れんばかりに膨らみ続けている。
彼が口癖のように好き、という言葉を口にするたびに、どうして応えてあげられないのだろうかと罪悪感に苛まれる。
本当は、こんなにも好きなのに。
今すぐこの窓から飛び出して彼の手を取りたい。
そのまま胸に収めて、キスをして、時間の許す限り抱いていたい。
しかし、いくら考えたって答えはひとつしかない。
俺が臆病なせいで、どれだけ彼を傷付けているのかも、本当は痛いほどわかっている。
迎えた週末。
変わらず俺の気持ちは憂鬱なままで、早くこの日が終わってほしいと願うばかりだった。
とうの妻は天気が良く朝からずっと鼻歌を歌うほどご機嫌だ。
ただ一緒にいるだけだったら、家事をサボるわけでもないし、世間でいうできる奥さんかもしれない。
良い面だけが見れなくなったのは、結婚してすぐだった。
残業をするたびに妻は癇癪を起こすようになり、連絡等も慎重に行わなければいけなかった。
上司に残業時間を報告するみたいに、家でも監視され縛られてるような感覚だった。
結婚記念日なんか、お祝いして楽しいのかな。
妻は一度だって俺と別れたいと思ったことはないのだろうか。
思っていてくれていたら、どんなに楽になるか。
そういった話し合いをしたところで怒鳴り散らされ話にならないのは予測するに容易い。
だから俺はいまだ切り出さずにいる。
こうして嘘の笑顔を作って、誤魔化すことだけは得意になった。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
