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予約したホテルのレストランに到着すると、少し早かったのか、準備があるからと入り口のところで待つように言われた。
早くしろだのってブツブツと文句を言う彼女を横目に、俺は浮かない顔で立ち竦んでいた。
そのときだった。
俺たちの後にら４〜５人ほどのグループが来店して、同じように待つよう指示されている。
ここにいる俺たち二人と比べて、ガヤガヤと楽しそうに話しながら待っている。
羨ましいなと、ちらっとそちらに目を向けると、５０代くらいの夫婦と、３０代くらいの男女の４人。
それに加え、白いシャツに黒いカーディガンを羽織った若い男性が１人混ざっていた。
俺は目を疑った。
その男性こそが、智くんだった。
あっという間に頭の中が真っ白になって、ただただ現実のものではないことを祈った。
しかし今更なすすべもなくて、気付かない振りをして妻の隣に座ろうと考えるが、店員に名前を呼ばれてしまえば終わり。
ここでバレなくとも、どうせ同じ店にいる限りはいずれ気付かれてしまう。
考えれば考えるほど鼓動は激しくなっていて、スーツの中はじんわりと冷や汗で湿っていた。
いったん深呼吸してもう一度確認しようと彼に目を向けるも、その行動を一瞬にして後悔する。
智くんは、幻でも見ているかのように、大きく目を見開いたまま固まっていた。
「あっ…」
彼は驚きのあまり声を上げると、家族だろうか。
周りの人も不思議に思い、彼の見つめる先、つまり俺に気付いた。
俺は激しく動揺して、声すら出なくて。
冬なのに全身が熱くなって、一方で顔面は血の気が引くように白く冷たくなった。
「あら、こんにちは。智、知り合いの方？」
彼のお母さんらしき女性が軽く会釈をする。
智くんも智くんでカタカタとぎこちない動きでお母さんと俺を交互に見る。
「あっ、う、うん…」
かろうじて出てきた言葉をきっかけに、彼の目にはじわっと涙が溜まって、唇の震えを隠すかのように真一文字に閉じた。
俺が何も言えずまだ固まったままでいると、状況に気づいた妻が立ち上がり、ひょこっと後ろから顔を出す。
「翔、知ってる人？」
「…えっ！？」
「いや、えっ？じゃなくて」
「あっ…うん。取引先の、大野さん」
無理矢理笑顔を作って、彼のほうを手で差す。
今智くんがどんな表情をしているか。
わかってるくせに、目を合わせることができない。
なんで、どうしてこんなことに。
これが、嘘をつき続けた俺への罰ということなのか。
それにしたって、あまりにも残酷すぎる。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
