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朝早くから始まったイベントも夕方には撤収作業が始まって、俺もさっさと帰りたくてPCに在庫を入力していた。
そんなに忙しくもなかったし、室内で寒くないし。
なによりお客さんがみんな楽しんでくれてて。
いい現場だな、と思った。
こういうとき、この仕事しててよかったなと感じる。
気付けば外は暗くなっていて、スタッフの数も徐々に減ってきていた。
ガムテープで荷物を留めていると、背中に気配を感じた。
「お疲れさま」
「翔くん、」
ぽろっと出た名前呼びに、あっと口を塞いだ。
「いいよ、人いないし。はい、これ」
「…ありがと」
寒いと思って気を遣ってくれたのか、温かいカフェラテを手渡される。
ご機嫌取りではなく、もともと彼はこういう人。
スマートに気遣いができて、みんなに好かれる。
誰にだってやってることだ。
「もう終わりそう？暗いから送っていくよ」
「いいです。暗いったってまだ６時だし。子供じゃないんだから」
煩わしいとでも言うように、ビーッ！とガムテープを伸ばし段ボールを固定する。
「そんな荷物あったら持って帰れないじゃん。会社も経由して行くよ」
「会場から送ってもらうんで大丈夫です」
…と思ったのもつかの間。
待てよ。部長から伝票もらったっけ？
急いでどこかに入ってないか蓋を開けて確認するも、案の定どこにも見当たらない。
やってしまった…。
昨日残業して帰り急いでたし、俺自身伝票はすでに会場に送ってあるとばかり思っていた。
どう考えても電車で運べる荷物ではない。
「ひょっとして、伝票忘れた？」
「うるさいな、会社に取りに帰るよ。いや、むしろタクシーで…」
「こっから会社まで電車で一時間半。往復して戻ってきて何時になる？タクシーも高速使わないと。会社はそれで交通費出してくれるかな？」
「…………」
なんで都内なのにこんなに遠いところでイベントなんかやってるんだ！
諦めて、頼ろうかな。
翔くんだって俺のこと利用してたわけだし。
俺も少しくらい利用したって、バチ当たらないよね？
そんなことを思ってしまう自分にも嫌悪感を覚える。
「ほら、意地張ってないで行こう。二人なら一回で済むでしょ」
「翔くん、もう仕事終わったの…？」
「元々この現場は俺の担当じゃないし。手伝いに駆り出されただけ。だから遠慮なく帰らせてもらう」
一緒に仕事すると、きっとすごく頼もしいんだろうな。
一番重い段ボールと手提げ袋を抱えて、先に歩き出してしまった。
俺は一番軽い段ボールひとつを持ちながら、その背中を追いかけた。
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京(プロフ) - 碧央。さん» 碧央さん、ありがとうございます！詳細な感想までいただけて…本当に本当に嬉しいです！！まだまだ書き続けたいと思いますので、今しばらくお待ちいただければと思います！ (2021年1月24日 1時) (
レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - ゆうきさん» ゆうきさん、ありがとうございます！！細かく読んでいただけて大変嬉しく思います。続編はもう少々お待ちくださいませ！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - butazch715413さん» ありがとうございます、そう仰っていただけて本当に励みになります！続編は書く方向で進めますのでもうしばらくお待ちくださいませ。 (2021年1月24日 1時) (レス) id: 877cf6680c (このIDを非表示/違反報告)
碧央。(プロフ) - 初めまして。毎日読みに来るのが楽しみで続きが気になって仕方ないほどにとても好きな物語でした。切なく胸が痛くなる場面や、ドキドキして高鳴り、にやけてしまう程ラブラブな場面、とても楽しませていただきました！続編読みたいです！お願いします！ (2021年1月23日 23時) (レス) id: c1ed4221ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 京さん、初めまして。京さんの描く色っぽくて魅力たっぷりな大野さんが大好きです。お話の更新をいつも心待ちにしておりました。このお話の続編、是非是非お願い致します！楽しみにしております！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 096605d473 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京
| 作成日時：2021年1月3日 1時
