あなたの居場所を奪います【HQ】

６話 ページ18

今日は土曜日。
家族で東京に一泊二日で旅行に来ている。







｢おぉー!!やっぱり東京は人が多いなぁ！｣



｢ほらっA!!アレっ東京スカイツリーじゃない!?｣







旅行……なのだが……。


私の親はこういう所に来るとテンションが小学生に戻るタイプの人達なのだ。





そんなの私にとっては小学生のお守り(おもり)をしろと言われているようなもので。

まさに地獄である…。








｢はいはい、お父さんは迷子にならないでよ。
あとお母さん、それただの鉄塔だから｣


｢｢あちゃーっ☆｣｣


｢……｣







この人達が本当に私の親なのか怪しいな……。







憂鬱な私の気分とは違って、



その日の空は雲一つ無い嫌になる程の晴天だった。









．









私たちは宿に荷物を置くとそれぞれ必要な荷物だけを持ち、

再び宿を出た。








旅先でずっと親のお守りなんてしていたくないから私は我儘を言って観光は自由行動にさせて貰った。



｢迷子にならないようにねー！｣と後ろで叫ぶ両親から速く逃れたい一心で、

早歩きになりながらも私はその場を去った。









｢……とは言っても私は別に行きたいところなんて無いんだけどねー｣









行き先の宛もなく、散歩をしている感じで東京の人通りの多い道を練り歩く。

つまんないなー。
楽しいこととか無いかな。





東京の皆さん教えて下さーい!!

旅行で来た人にオススメの場所はどこですか!!






心の中で一人荒ぶっていると数人の男性が固まって歩いている人達の内、一人にたまたま肩が当たってしまった。


あっ……嫌な予感。






その予感は見事に的中し、肩の当たった男性は｢あﾞぁﾞ？｣と威嚇するようなドスの効いた声を出す。

私は反射的に｢すみませんっ!!｣と謝る。






やばい、ミスったわ。

この選択。






声をバッチリと出してしまったため、男性は私にぶつかったということが分かり私の全身を舐めるように見てくる。


人通りの多いこの道だったら逃げることもできたはずなのに……っ。








楽しいことっていうのはあくまで自分が楽しめることであって、


こういう面倒臭いことじゃないんだよっ！







冷や汗が背中を伝うなか私は男性達に腕を引っ張られ、
人通りの多い所から人通りの少ない場所へと連れていかれた。







(あー…めんどくせぇ……)
(こういうときに及川さん来いや)

別の新作を作ってしまったことを謝りたい作者→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す