【歌い手】今宵、狐は過去を話す。 (ページ19)

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「なんだよ、それ。人身売買……？」

『人んところボロボロにして、精神的苦痛与えた挙げ句、バカどもの集まりで売るようなやつより、りょーさんの方がましだろーが！！！』

しーんと静まり返った教室が、妙に気持ち悪く感じて、教室を飛び出す。

『……かあ…さん…。』

授業中で、誰も居ない屋上は何処か寂しさを感じ、余計に辛くなった。

「きつね君！」

『……円城寺…さん。なんで来たの？』

「きつね君、話聞かせてよ。そのかわり、私も話すから。」

『……変なの。』

勢い良く屋上の扉を開けて入ってきたのは、不思議な円城寺さんで。

『僕ね、小学校入ってからいじめられてて、中2の時には母さん亡くなって、施設入った。』

『少しして、黒スーツの男に連れてかれて、性,的暴行加えられた。』

『その後、人身売買で売られた。そんで、今働いてる店のオーナーに買われて、居場所もらった。』

「私はね、お母さん一人だったんだけど、病気で亡くなって、養子としてでっかい会社経営者のお家に戸籍入れたの。」

「けどね、躾が厳しくて、学校もお坊っちゃまお嬢様が通うような小学校入って、」

「家では、厳しい躾。学校では、男女関係なくいじめられて。中学生になってもいじめられて、頭狂ったの。」

「これで、お互い様。施設入ってたのは一緒だね。」

『俺施設嫌いだった。』

「ふふっ。私も嫌い！だって、大人が煩いんだもん。」

『傷見る？多分、円城寺さんになら見せられる。』

何故か、円城寺さんに可能性を感じて、そう聞いてみる。

「きつね君のトラウマ掘り返さない？」

『大丈夫。ほら。えっとね、この深く切ったやつが小学校のときの。んで、隣のやつがくそったれにつけられたやつ。』

「きつね君、体中に傷あるでしょ？」

『なんでわかったの？』

「プールの授業休んでたし、傷が原因なのかなって。」

『ま、もう隠す必要性なくなったから、明後日の授業出るけどな。』

その後は、本当に他愛もない話で盛り上がったり、趣味の話でクイズ大会をしたり、全授業サボって話していた。