【歌い手】今宵、狐は過去を話す。 (ページ16)

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番外編ページ16

( 時間軸戻して現代 )

4月1日が何の日だかは、日本人人口の半分は知ってるだろ。そう、エイプリルフール。だから、まふにちょっとキツいかもしれないドッキリをしかける。それも、動画撮って。

『はい、どうも！まふりんの凛です。』

『えっと、1人。寂しいね。でもね、彼氏であるまふくんにドッキリ仕掛けたいの。』

『今日ね、俺は学校終わってバイトもないから直帰してきたんだけど、まふくんは打ち合わせあるらしくて遅いんですよ。』

『だから、カメラ隠して、まふくんを闇に葬りたいと思います。ドッキリの内容は、別れよって言う。』

『俺が、まふくんへの気持ちが冷めたから別れよ、って言ったらどんな反応するか。』

『いつもあまあまな彼氏のまふくんはどんな反応するのか楽しみです。では、やってみる！！』

小型のカメラは、棚に置いてある細かいものに紛れ混ませて、普通のカメラはテレビ台の後ろの方に隠した。ヤバイ。超楽しみ。

そんなことを言っても、まふが帰ってくるまで後20分はある。

ｶﾞﾁｬ

『来た。まふ～！！』

「ただいま～！燐～！！今日めっちゃ疲れた～。」

『ふふっ、お疲れ様！！まふ頑張ったね～、偉い！！』

話を切り出す前は、いつも通りに。けど、いつもより甘やかしてるような気がする。

『まふ、大事な話。』

「何？怖いんだけど。」

『あっ…あのね、…………………俺、……まふへの気持ち冷めた。……………』

「え??」

まふ、思った以上に変な顔してる。けど、ちょっとキツすぎたかも。

「燐？ねぇ、何言ってるの??」

『………ごめん。』

「ねぇ、…嘘って言って？…………」

( 続く )