十五輪目 ページ15
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ルートb
カサリ
軽い音がして、指先に紙くずがふれる
くしゃくしゃに丸められた、薄緑色の紙だった
『‥‥』
何気なく広げてみる
『‥‥‥!?』
ドキッとした
癖のない、ボールペンで書かれた綺麗な文字
見間違える筈のない筆跡だった
よれよれになっていて読みずらいけど、必死に読もうとした
__一通目
『‥‥なんだ』
脱力感に襲われる
封筒にはってあった付箋か
なんの変哲もない、特別な意味も持たない
私はずるずると座り込む
『‥‥‥綺麗な、文字だなぁ‥‥』
その時、ふと
付箋にまだ何かが書いてあることに気がつく
『‥‥?』
私は、目をこらした
"一通目___初めて会ったときのこと"
『‥‥!?』
飛び込んできたのは、予想だにしなかった手紙のタイトル
あわてて、他の紙くずを広げる
全部で八枚
"二通目___チョコミント好きって知れた事"
"三通目___マフィアだとばれてしまった時の事"
"四通目___織田作の時の事"
"五通目___探偵社の仕事帰りの事"
"六通目___心配で大切な事"
"七通目___大好きだった事"
"八通目___大好きな事"
どういう、こと?
このふられたタイトルが、とても手紙の内容に当てはまるとは思えない
他の女の子ナンパしてたり、冗談を言ってたり‥‥
___『この子を助けるのを手伝ってくれませんか!?』
___『お小遣いないんです。でも食べたいんですもん』
『‥‥!』
___『マフィアだろうと怪我人には変わりないので、大人しくしてくれませんかね?』
___『貴方は傘をささなくちゃ。温もりの方が必要ですよ』
____『だから心中はお断りです!』
____『太宰さん? ツケるのは無しって何度言えばいいんですか!』
『‥‥‥う、そ』
フラッシュバックする記憶のなかに、次々と辻褄があっていく
この、手紙は
この内容は
「長い茶髪の」「おさげで」「眼鏡の」「赤いカーディガン」
『全部‥‥わたし?』
鼻がつんとした
喉の奥から熱いものがこみあげてきた
死にたいほどの喪失感を
追いかけたいと思う気持ちを
それらに支配されていた脳内を、その八枚は手紙に引き戻す
____「まぁ、私は一足さきに終点まで行ってるから、Aはそっちでゆっくり用事を済ませてから来るんだよ」
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りんず(プロフ) - ザクロさん» ザクロちゃんだー!ありがとー!褒められると私は天狗になるのでちょっと鼻をへし折って来ます (2018年8月27日 3時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
ザクロ(プロフ) - わっ.......凄い!なんか....その.....凄い!((((語彙力 (2018年8月27日 3時) (レス) id: cf0e41908a (このIDを非表示/違反報告)
りんず(プロフ) - 水月*さん» わあ!知り合いがいっぱい?来てる!そう言ってもらえると嬉しい!ありがとうー!頑張って作った甲斐があったな‥‥ふぅ。 (2018年8月11日 11時) (レス) id: f93fc47876 (このIDを非表示/違反報告)
水月*(プロフ) - りんずっちゃん!?え、誰のとも知らず呼んでないた。個人的にし んで欲しい。aルートがすき!!りんずっちゃん天才!! (2018年8月11日 4時) (レス) id: c283ad66e4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - りんずパイセンの文才が溢れ出す…ちなみにいくつか相談あるんよ←ボード来てもらってええ? (2018年8月10日 1時) (レス) id: 42ecbbb834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2018年8月5日 18時