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本音を言うなら、こうやって2人きりになるのも良いけど、やっぱりみんなで楽しく過ごしたい。…前までは、それが出来ていたんだから。
ずっと、幸せな日々は続くのだと思っていた。私が甘かったのか。世界が、私たちに優しくなかったからなのか。私たちはお互いを縛り合っている。
それでどうにか、繋ぎ止めているだけだ。
「…ルカス、」
「うん? どうしたの、主様」
「ナックとラムリとは…上手くやってる?」
最近は、3人でいる姿をしばらく見ていない。たぶん、それは私だけで、何も変わらずに3人で過ごしているのだと思うけれど。
また、3人で仲良くしている所に一緒に居たいな、なんて。
「ふふ、もちろん。でもダメですよ、主様…。貴方を前にすると、私たちはとてもじゃないけど穏やかではいられないからね」
「…。」
胸に刺さる痛みを我慢させるように、ルカスは優しく、私の頭を撫でた。…ごめんね。悪いのは、私の方なのに。
しばらく他愛のない話をした。ルカスはたまに変な薬を仕込もうとするくらいで、怖いところは少ない。…その薬の効力が分からないところは怖いけど。だって、注射で薬を入れられたあとは、たいてい記憶が無くなってしまっているから。
「何の薬なの?」と聞いてみたけど、笑顔で誤魔化されたからそれ以上は聞かないことにした。別に、その笑顔が怖かったからではない。
そんな話をしていると、
「ルカス様、ルカス様〜! やっぱりここに居た!」
ノックをすっ飛ばして、騒がしい足音が入ってきた。慌てた様子のラムリだ。
部屋に入ったのがラムリだと分かって少し表情を柔らかくさせたルカスは「ラムリくん、主様の部屋に入るときはノックをしようね」と至極真っ当な注意をしている。
「あっ、すみません〜……それに、お楽しみの所だったのに」
ちら、と私の方を見たラムリの表情は読めない。ただ、いつもより声が低い気がして、首を横に振ることしか出来なかった。
何があったのかと尋ねるルカスに、ラムリは面倒くさそうに答える。ナックに叱られたときのようだ。
「それがですね〜。
…また。
その意味は、私にも分かる。
彼は無自覚だったけれど、頬に散った血の跡が、さっきまで彼が相対していたものの正体を語っていたから。
…また、彼らは傷付いている。
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