fireworks 8【Ki】 ページ38
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最後の盛り上がりを見せた真っ赤な火花は、北山さんのくしゃりとした笑顔をはっきりと浮かばせて、次の瞬間、すん…と消えた。
本当は一緒にいたくて、彼と人生を重ねたい。
堰を切ったように、心に溜まっていた涙が溢れ出す。
すると突然、北山さんの「せーのっ」を合図に、二人のありったけの叫び声が、煙ただよう小さな広場に上がった。
「「いーーれーーてぇーーーー」」
戸惑う私のもとへ晴人が駆け寄って来る。
両手に持った花火はもう消えていたけど、彼の瞳はキラキラと輝いていた。
「ママ!!!いーいーよぉ、は!?」
「…え?」
「ママいつも言ってるでしょ?仲間はずれしないで、いーれーてー、には、いーいーよー!だよって。だから僕が教えてあげたんだ!!」
北山さんが「なっ!」って晴人の肩に手を乗せれば、「ねっ!」って晴人が北山さんを見上げる。
同じような笑顔で私を見つめる二人に、絞り出した私の強がりを、いつか誇れる日がくるだろうか。
「…無理。本当に……、晴人のこととか、そんな簡単な問題じゃないと思うし、私は晴人と二人で頑張っていくって……、そう決めたの」
晴人と二人、火葬場で見上げた青空は、晴人が産まれた日のように真っ青だった。
「私、北山さんの人生を、北山さんを愛する人たちの人生を、振り回したくない」
北山さんは、すべて見透かしたように優しい顔をして私の手を握りしめた。
「ん〜……、なんつーか、俺にとってはすげぇ簡単でもっと単純なことなんだよね」
少しだけ斜めに視線を上げたら、私の手、もっとぎゅって、強く握りしめる。
「俺はAのことが好きで、晴人が可愛くて、きっと楽しい毎日が待ってんだろうなぁって思うの。ただそれだけ。俺は俺のために、Aと晴人と旦那さんが築いてきた家族の仲間に入りたいだけなんだよ」
晴人が笑ってた。
北山さんも笑ってた。
「家族としてAと晴人を全力で守るし、家族として二人を愛していきたい。だからさ、俺と結婚しよ?」
でも……、
北山さんのお父さんとお母さんの想いは?
願いは?喜びは?
「あーもー、ほんっと強情だなお前は!!ほれ!!最後の切り札!!!」
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時