fireworks 9【Ki】 ページ39
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「本当は出したくなかったのに」って悔しそうに口を尖らせる北山さんから差し出された携帯画面には、
『誰の父親にもならないって、晴人くんを想って言った宏光は、もう晴人くんの立派な父親なのね。お父さんもお母さんもそれだけで満足です。可愛い孫と娘のために、しっかりしなさいよ!』
北山さん……、気づいてたの?
「いい、の…?本当に……、いいの、?」
「振り回し合うのが家族だろ?」
そばで聞いていた晴人が、まだ咲いていないつぼみのままの花火を両手で回しながら、「ふりまわそぉ〜」って無邪気に笑う。
「でもまぁ、どんだけ振り回し合ってもさ、絶対に手だけは離さない。そんな風に、三人で生きていきませんか?」
私も、そんな風に、生きていきたいです
「……はい」
小さな返事を聞き遂げると、いっきに顔を緩めて、北山さんは急速に男の人から男の子へ変わる。
「はい、じゃないですー。ほら、晴人に教えたやつ、ちゃんとAもやらなくちゃ!!」
無邪気なのか照れ隠しなのか分からないけれど、北山さんがやたらと声を張るから、半強制的に「いーいーよー」なんて答えてみたけど、どうしたって照れ臭い。
「やったぁぁぁぁ!!!晴人!やった!いれてもらえたぜー」
「やったね宏光!!!」
ひ、宏光!?
晴人ってばいつの間に?
「ちょっ、晴人っ、"ひろみつ"じゃないでしょう?」
と、言ったはいいものの、
北山さんのこと
何て呼ばせたらいいんだろう…
「いんだよ。俺の名前は宏光。コイツは何も間違えてない!!」
「でも….」
「父親になるとか、正直そんな難しく考えてないんだ。でもちゃんと叱るときは叱るし、命をかけて二人を守るって決めてる」
私は、この日に咲いた美しくも儚いこの真っ赤な火花を、一生大切にしよう。
" 家族って、そういうことだと思うんだ "
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時