at close range (ページ36)

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fireworks 6【Ki】ページ36

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" は…、初めまして、倉田Aと申します "

" あれあれ、遠くまでご苦労様でした。いらっしゃ………、ん？その子は？ "

" くらたはると、はなもりほいくえん、りすぐみ、四歳ですっ "

北山さんの実家で過ごした年末年始は、とても楽しかった。

初めこそ緊張を隠せずにいた晴人だったけど、気さくに接してくれる北山さんのご両親のおかげもあり、すぐに懐いてしまい、逆に馴れ馴れしすぎるのではと心配してしまったくらい。

絵本の中でしか見たことのなかった杵と臼に興味津々で、ヨタヨタしながらお餅をついたり、コマを教えてもらったり、皆が手加減してくれるカルタで勝って得意になったり。

晴人も私も、受け入れてもらえている安心感の中、たくさん笑った。

でも、知ってしまったの。

明日はいよいよ帰るって日の夜。

偶然盗み聞きしてしまったその会話は、間違った道を進みそうになっている私にきちんと現実を教えてくれた。

" すごくいい子だね、Aさんも晴人くんも "

" まーね、俺が選んだんだから当たり前よ "

" 宏光、結婚考えてるんだろ？じゃなきゃこんなところ、連れてくるわけない "

" あぁ、もちろん。まだ少し時間が必要かもしんねーけど、近いうち、ちゃんとする "

" ……産むんだろ？ "

" は？何を？ "

" 宏光の本当の子。ちゃんとつくるんだろ？ "

ご両親の不安は、当たり前だと思った。

愛する息子の子供を抱きたい。

非情でもなんでもない、ごくごく、普通の気持ちだと思った。

なのに北山さんは……、

" つくらない "

ご両親も立ち聞きしている私も、同時に言葉を失った。

" 俺は誰の父親にもなるつもりはない。まだAには言ってないけど、俺は三人で家族になりたいと思ってる"

北山さんの情熱的な真っ赤な想いは、私たち三人以外の幸せを、燃やし尽くしてしまう。

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「遅かったじゃん、さては晴人がお漏らしでもしたか？」

「もうぼく五歳なんだから！おもらしなんかしないよ！！」

日に日に距離が縮まり、日に日に親子のようになっていく二人の姿を胸にしっかりと焼き付けた。

北山さん

あなたにはお父さんになってほしい

あなたの子どもを

あの優しいご両親に抱かせてあげたい

だから、今日で、さよならをしましょう

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