fireworks 5【Ki】 ページ35
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「おぉ〜、うまそっ」
「おぉー、うまそー」
「晴人お前真似すんなよな」
「おまえマネすんなよなっ」
「こーら晴人!お前じゃないでしょ〜!?」
私に窘められた晴人を、「ざまーみろー」って北山さんがからかって、悔し涙を浮かべる晴人の「ママのおっ ぱい見たことないくせに」なんて反撃に、撃沈されてるし。
「はぁ?うっせーよ!……ずりーな晴人。どんなだったか教えろ」
「えー、おしえなーい」
北山さんからのコショコショ攻撃に、また違う涙を流して笑う晴人。
そんな二人を一括する私をみて、お腹を抱えて爆笑する北山さん。
夏が終わり、秋が終わり、冬が始まる頃。
毎週金曜日、仕事を終えて、保育園に晴人を迎えに行った足で北山さんのお家へ行き、週末を一緒に過ごして、日曜日の夕方帰宅する。
そんな毎日が当たり前になりつつあった。
「なぁA、年末さ、旅行でも行かね?」
「え、でも、年末は…」
「なんか予定あった?」
北山さんは実家とか、帰らないのかな?
「っつーか、まぁ……、旅館は俺の実家なんですけどね」
「またキザな昭和グセ出ちゃったわ」って、照れ笑いする北山さんがその後どんな言葉を続けたのか、頭が真っ白になった私の耳には届いてこなかった。
「アレ?また泣いちゃう?」
「泣かない…、けど、……不安」
ちらっと晴人が寝ている部屋へ視線を送ると、北山さんはすぐに察した様子で、私の頭を優しく撫でた。
「大丈夫、関係ないよ」
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今思えば、あの頃が幸せの絶頂だった気がする。
もしかしたら本当に三人で、このまま幸せな毎日が送れるんじゃないかって、信じられたのだから。
「ねぇ晴人、夏が終わったら、ママと一緒にどこかに行こうか」
「んー?どこかって?」
「まだママも晴人も行ったことがない場所。そうだなぁ〜、海が近くにあってー、水族館があって、大きな公園があって、、、そこでまた、新しく二人で暮そっか」
「二人で?」
「うん、二人で……、前みたいに、二人きりで」
晴人が何かを言いかけたとき、私たちを呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、晴人ー、Aー、こっちこっちー」
パッと私の手を離し、一目散に駆けて行く晴人の小さな背中を、私は見ることができなかった。
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時