fireworks 4【Ki】 ページ34
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水族館からの帰り道、バックミラー越しに目を合わせ北山さんが言った。
「本当、一日中はしゃいでたから」
私の膝枕で眠る晴人の手には、しっかりとシャチのぬいぐるみが抱かれている。
「あの…、毎回毎回晴人のために色々と買ってもらっちゃって……、その、あんまり気を使わないで下さい」
「んー?気は使ってないよ?金は使ってるけどねー!なんちって」
信号が変わり、ハンドルを握る北山さんの腕に力が入った。
水族館の目玉でもある休日のシャチのショーは、人で溢れかえっていて、きっと私だけだったらシャチの大ジャンプくらいしか見せてあげることはできなかったと思う。
" わぁ!ママー!!たかーい!!! "
この腕に抱えられた晴人、すごく嬉しそうだったな…
「いーのっ!俺がしたくてしてんだから、Aさんには関係ないの!!んねっ?」
惹かれている、なんて、そんな曖昧な言葉ではもう表せなくなってる。
私、北山さんが好きだ
「Aさん、まだ時間平気?」
「はい、…?」
北山さんは、「じゃあちょっとだけ」って、人気のない高台にある駐車場へと車を停めた。
晴人は熟睡したままで、そっと抜け出し自動販売機で缶コーヒーを買う。
「あのさ、コレ、Aさんに」
ポケットから出てきたのは、今日行った水族館のお土産屋さんの小さな紙袋。
「え、私にも買ってくれてたんですか!?」
「まーねっ」
少し重みのある紙袋は少しだけくしゃくしゃで、手のひらへ流した出したその中身は、
「コレって……」
晴人へ買ってくれたぬいぐるみと同じシャチのキーホルダーと、そこにぶら下がる銀色の鍵だった。
「三人おそろい!いつでも来てよ、晴人と一緒に」
私の目を盗んでこのキーホルダーを買い、さらに用意していたであろう合鍵を付けて、また紙袋に戻した北山さんの行動が、頭の中で再生される。
「笑ってんの?」
「すみません、、、つい」
「笑うなっつーの!ドラマの見過ぎとか思ってんだろ?」
可愛くて、嬉しくて、愛しくて…
「で、…なんで次は泣いてんだよ!」
「…っ、すみませ、……つい」
北山さんの手のひらが、私の頬を包む。
「真剣だから、俺」
初めてのキスは、少しだけコーヒーの味がした。
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時