fireworks 3【Ki】 ページ33
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" たまには楽しんできなさい "
" ママいってらっしゃーい "
初めてのデートの日、晴人と母には同窓会があると嘘をついた。
ごめんね。
一日だけでいいから、北山さんと過ごしたい。
「おーい！Aさーん！！！」
「北山さん…、お待たせしました」
「アレ？晴人くんは？」
「実家の母に預けてきました」
「なんだよー、今日会えると思ったからコレ、こんな用意しちゃったよ」
車の助手席には、四歳の男の子が喜びそうなオモチャ、砂遊び道具やボールが山ほど準備されていた。
そんな北山さんの気づかいが嬉しい反面、すでに彼を面倒なことに巻き込んでしまっている気がして、彼の気持ちを引き止めたことを、私はもうすでに後悔し始めていた。
「んじゃま、今日は二人で行きますか！」
たくさんのオモチャを後部座席に移動させる北山さんの背中に向かって、心の中で何度何度もつぶやく。
" ごめんなさい "
「子連れデートの計画しか立ててなくてさ、Aさんどこか行きたいとこある？」
「どこでも」と答えた私に、「それいちばん困るやつ」って笑いながら、北山さんはアクセルを踏み込む。
だって、本当に、どこでもいいんです
.
.
晴人の左手に握られている小さな砂遊び用のバケツを見つめる。
" おっ！やーっと会えた！！初めまして、北山宏光です "
" 晴人の身長越しちゃうくらいの山作ろうぜー "
" よしっ晴人！そのバケツに水くんできて！ "
「ねぇ晴人、ママだって大きなお山、作れるんだよ？川だってトンネルだって作れるんだから」
「へぇー、そっかぁ」
「それにね、ママだって晴人のこと高く抱っこできるよ？シャチのショーだってディズニーのパレードだって全部見えちゃうくらい高く」
「そうかなぁ？」
「それにママだって、……ママだって…」
こんな小さな子に、私は何を言ってるんだろう
口をつぐんだ私をきょとんと見上げる晴人。
「じゃあまた今度どこか遊びに行こうね！三人で！！」
晴人ごめんね、
三人で迎える" 今度 " は、もうないんだよ
.
.
「晴人ぐっすりじゃん」
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作者名：ななは | 作成日時：2018年7月28日 1時
