palm 1 【2】 ページ18
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「千賀のねーちゃんって赤ちゃんみたいだよな」
「ニカ、しーっ…、そろそろ出てくるからっ。結構話し声筒抜けなんだよこの家」
私の言われたくない言葉ランキング1位を知っている健永は、慌てて親友(くそガキ)を制止している様子だ。
もう聞こえてるつっーの!!!!
わざとスリッパの音を立てて廊下を歩くと、一瞬静まり返った弟の部屋からは、けたたましい笑い声(くそガキのみ)が聞こえてきた。
自室に戻り鏡を立てる。
お風呂上がり、ノーメイクの薄い顔を直視できずに目を背けた。
" 赤ちゃんみたいだよな "
悪かったわね童顔で!!!
どうしようもないベビーフェイスで!!!
どーにもこーにもしょっぼい顔で!!!
ビシャビシャと、怒りに任せて高い化粧水を浴びせまくった。
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「A?」
げ、この声
「おーい!!Aー!!!」
やっぱり……
っつーかなんで学ラン姿に呼び捨てにされなきゃならないわけ!?
完全なる無視を決め込み、再び歩き出した私の前に、ボロいママチャリが立ちはだかった。
「やーっぱり!Aで合ってた!あまりにも顔が違うから間違えたかと思ったわ!!」
ねぇ健永
あなたはコイツの何が良くて何年も親友やってんの?
「っつーかもう別人じゃん!詐欺まがいなことすんなよな」
毎朝2時間かけて仕上げて
さらにさらに休み時間削って修復して
常に保っている年相応の
努力の結晶以外何ものでもないこの顔を!!!
さ……、詐欺まがい!!?
その目元のホクロ
ほじくり返してやろうか?
ムカつくなんて優に通り越して、妙に冷静になる。
「二階堂くん、いつも健永と仲良くしてくれてありがとうね。これからもよろしくお願いします」
にっこり笑って言ってやった。
ぷっ…
面食らってるし
ざまーみろ
大人っていうのは常に余裕があるものなのよ?
自転車の前輪をすいっと避けて、カツカツンッと、高らかにヒールを響かせその場を後にした。
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時