palm 2 【2】 ページ19
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どうしよう……
" 今度一緒に旅行でもどうかな? "
同期の亮介と付き合って三ヶ月。
ずっとずっと、意図的に避けてきたコト。
" Aって、ほら、いつも泊まっていかないし、なんつーか、もっと一緒にいたいんだよ "
わかってる…、
いつまでも避け続けてはいられないって
鏡を出して、久しぶりに凝視した自身のすっぴん。
あくの抜けた目もと。
小さな鼻。
丸い輪郭に柔らかなほっぺ。
携帯の画面には、亮介が送ってくれた雰囲気の良い温泉が写っている。
お風呂上がりにばっちりメイクって
やっぱ引くよね
ナチュラルメイクならできるかもだけど
ナチュラルなんかじゃ精々幼稚園児どまりだよ
夕涼み会じゃないんだから
むぎゅーっと鼻をつまんでみる。
あーーーー
なんで私はこんなに弟に似てないんだろう
" は?マジで?お前本当は何才? "
" なんか犯罪の匂いがするし "
" わり、萎えるわ "
もう二度とあんな惨めな思いだけはしたくない
お母さん、
私にも年相応の顔になれる強制バンド、
作ってくれないかな…
ジワリと涙腺が緩み始めたその時、
「お疲れぇーーー!!!」
膝小僧の間に埋めていた顔を上げれば、もちろんそこにいるのは、学ラン姿のクソガキただ一人。
勝手に部屋に入ってきたことに悪びれる様子もなく、「へぇー、部屋は意外とシンプルじゃん」なんて淡々と感想を述べている。
いったいどんな教育を受けてきたらこんなに非常識になれるんだろう。
「何?泣いてんの?」
「…健永は?」
もう叱りつける気力も残ってない。
「ダンス部に顔出すってさー」
だったら今すぐに出て行って!!
この部屋からも、この家からも、私のパーソナルスペースからもっっっ!!!
私の気持ちにもこの状況にも、慮ることなく堂々と腰を下ろす目の前の彼に、今まで自分が築いてきた何かが、微かに崩れる音を聞いた。
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時