pure knight 6【S】 ページ17
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「い…、衣、食、住!?」
まさか……、
お裁縫のカルチャースクールは"衣"のため!?
「……養うから。俺がAを、ちゃんと養うから」
相変わらず綺麗な肌。
健ちゃんの大きな瞳は真っ赤になっている。
「だから俺と、結婚しよう?」
大いなる脱力感と、それを凌駕するほどの愛おしさ。
いつ、何がどうなってそうなったのか、皆目見当もつかないけれど、
いつの間にか私は、このヘタレな幼なじみを、こんなにも大好きになっていたんだ。
「もぉ…、バカじゃないの?」
純粋で、真っ直ぐで、
何事にも一生懸命なとこ、
世界でいちばん男らしいよ
初めて抱きしめられた胸の中は、すごく優しくて、頼もしかった。
「あーーーー、やっと触れたぁ。小三以来だぁー」
「あぁ、あの肝試しで健ちゃんがびびって抱きついてきたときね」
あ、しまった
こんなこと言ったら…
「ごめんA、俺、夏祭り巡業のついでにお寺の住職に…」
「いーからっ!!!大丈夫だから!!!」
「あっ、じゃあ俺が幽霊になればいいんだ!そうすればみんな友だちだし怖くないよね」
「でもそれじゃあ健ちゃん死んでるじゃん」
「あぁ、それはダメだ。触れないのはダメ」
すると私の顎をクイっと優しく持ち上げてにっこりと笑い、軽く、触れるだけのキスをした。
恥ずかしさと緊張で硬直する私を抱き寄せると、耳元で甘く甘く囁くの。
"幽霊になっちゃったらキスできないもんね"
あまりにカッコつけたように言うから
思わず笑っちゃったじゃん
.
「ねぇA、やっぱりこの漫画、何回読んでも泣けるね」
グズグズと相変わらず涙ぐむ健ちゃんに、「そうだね」なんて返す私も
少しは女の子らしくなれたかな?
「てか健ちゃん、最後にひとつだけ聞いてもいい?」
「何?」
「フェンシングは何?それも身体つくるため?」
「ううん、こういう場面に遭遇したときに有効かなって」
ドヤ顔で見せてきたのは、漫画の冒頭、猛犬に小枝を振りかざすチビナイト、ケンちゃん。
「ふふっ、大丈夫だよ、また私が助けてあげる」
私のヘタレな幼なじみは、脱ヘタレを目指す、世界でいちばんピュアな人でした。
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【end】
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時