at close range (ページ14)

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pure knight 3【S】ページ14

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休み時間、不可解そうな顔をした芹那が、頬杖をつく私の顔を覗き込んできた。

「ねー、最近どした？」

教室の後ろ、扉のレールを挟んで話す健ちゃんと藤崎さんは、まるで年に一回の逢瀬を楽しむ織姫と彦星のようで。

そんな二人を視界から外し芹那を見上げた。

「何が？」

「千賀、全然Aんとこ来ないじゃん」

「そう？まぁ別に、こんなもんじゃない？」

「寂しそうにしちゃって」

「誰がよ」

笑いながら芹那を軽く睨む。

別に寂しくは…、無い

ただ、健ちゃんが

何に腹を立ててるのか

少しだけ気にはなる…、かな

「しかも何アレ。千賀、藤崎さんと付き合ってんの？」

「さぁ…」

堂々と視線を送る芹那に便乗して、再び健ちゃんたちをジッと見つめる。

「でもさ、千賀、こうやって遠目でみると案外ヘタレじゃないよね」

「…………ん」

そう、

藤崎さんの前にいる健ちゃんは、

少しだってヘタれていない健ちゃんだった。

私の知らない、千賀くんだった。

そして私は、そのことがたまらなく淋しいと思った。

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健ちゃんと口をきかなくなってから約二週間。

電話もメールも入れられず、私の"うずうず"は日増しに大きくなっていて。

今日もダメだった…

きっかけさえあればなぁ

ため息と共に下駄箱でローファーを取り出していると、清涼感のある香りが鼻をかすめる。

「健ちゃん……、なんか、久しぶり」

「あぁ、うん」

冷たいし

「こっ…これからウチでさ」

「今日はバイトなんだ」

「そっか……、じゃあ明日は」

「明日は塾だから」

被せてくる返答に次の言葉をなくした私を、健ちゃんは最後まで振り返ることはなく、静かに昇降口へ向かって歩き始めた。

" 自転車通学！？近いんだから歩きでいいじゃん！一緒にお喋りしながら行こうよ "

何さ何さ何さ

一緒にお喋りなんてしてくれないじゃん

私は健ちゃんがバイトを始めたことも、塾に通い始めたことも、何にも知らなかった。

私と健ちゃんは、しっかりと他人だった。

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「あら、Aちゃん、今帰りー？」

声の方を振り返ると、仕事帰りと思しき健ちゃんママが私に向かって片手を上げていた。

ママチャリの前カゴには、長ネギの生えたスーパーの袋が入っている。

昔から綺麗で若々しい健ちゃんママには、違和感しかない装備だ。