pure knight 4【S】 ページ15
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健ちゃんママは、私の脇まで来るとふわりと降り立つ。
その瞬間、甘く優しい香りが鼻をかすめた。
この香り
時々健ちゃんからもしてたなぁ
なんか…、すでに少し懐かしいや
「ねぇ、Aちゃん、最近健永、何かあったのかな?」
「…なんで?」
「なんかね、最近あの子、おかしいのよ」
くちびる尖らして、真剣な表情をしてからすぐに、「まぁもとから少しズレてるんだけどね?」っておどけて笑う健ちゃんママを前にしたら、自然と私も"幼なじみのAちゃん"に戻れているような気がした。
「最近あんまり話してなくって…、どんな風におかしいの?」
「なんかね、急にバイトするーって、ドカタ系の求人に片っ端から電話したり、塾にも通いたいっていうから了解したら…、学習塾じゃなくて何故か農業塾!」
の…、農業塾!?
何それ
「それだけじゃないのよ?お裁縫のカルチャースクール探してみたり…、フェンシング習いたいって言い出したり、夏休みは富士山にも登るらしいし、ヘクタール単位の畑も欲しいみたいなの」
健ちゃんの奇行の数々に、返す言葉が見つからない。
「あとは毛かなぁ…」
「け?って、毛?ヘアーの?」
「そうなの。ヒゲとかすね毛とか、男性シンボル的な毛を蓄えたいみたい」
愛息の謎めいた意欲に困惑気味の母は、はぁ〜…と、やや湿り気を帯びたため息をついた。
健ちゃん…
私も少しだけ困惑しているよ
" 男らしいところかな "
もしかして、藤崎さんのために?
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靴底も溶けてしまいそうなほど熱されたアスファルトを一人歩く。
健ちゃんとの距離は依然として戻らないまま、明日から夏休みに突入。
あぁ…
暑い……
二学期からは自転車通学にしよう
そう心に決めて、足早に家路を急ぐ。
横断歩道を渡り終えると、見えてくる大型の新興住宅街。
私と健ちゃんは角地同士のお向かいさん。
ん?
我が家であるはずの玄関前に、何かがいる。
その"何か"、が、すぐに彼の頭だってことは、わだかまっているとは言え、かれこれ17年も連れ添った幼なじみ、すぐに分かった。
でもね、分からないことがひとつだけあるの
私、今、すごく、ドキドキしてる
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時