at close range (ページ6)

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princess 2 【M】ページ6

「ねぇ俊くん、フィギュアに話しかけるのやめなよ」

「え？なんでぇ？」

「気持ち悪いよ？」

「そうかな～？だって話しかけてくるからさぁー、無視したら可哀想かなーって」

うん、確かに

「無視するのは可哀想…」

「でしょっ？」

まるで同志のような笑みで私を一瞥すると、「ちょっとだけ小腹が減ったなー」なんて、冷蔵庫を漁る俊くんの背中がドヤってる気がして、私の気持ちは急速に煮えたぎっていく。

「…んでよ」

「うん？」

「選んでよ…」

「え？、……何を？」

振り返った俊くんのもう片方の指先には、先日俊哉ママから送られてきたタケノコの煮物が挟まってた。

お母さんごめんなさい

私は今からあなたが産んでくれたこの身と美少女フィギュアを

天秤にのせますっ……！

「マイコか私っ！！！どっちが大事か選んでよっっ！！！！！！」

ぽか～んとだらしなく空いた口、

細まったまま固まった目、

床に落ちた食べかけのタケノコ。

それきり一切合切動かないから、マイコの居る世界へ彼まで行ってしまったのではないかと不安に駆られるも、目尻のシワに汗が流れ始めて、彼がまだココにいることをやっと実感した。

「いっつもいっつもいーっつもマイコマイコマイコって、バッカじゃないの？」

彼の指に抱かれるマイコの、張り付いたチャーミングな笑い顔が、どんどんどんどん気持ちを逆なでしていく。

「そりゃマイコはいっつも笑ってるし…、ワガママも言わないし全然太ったりしないしでもおっぱいは大っきいし……、」

いい年して

私…

何を言ってるんだろう

「でもっ……、」

「でも？」

「私の方がっ…」

「私の方が？」

ほら

マイコはもってないでしょう？

「俊くんのこと好きなんだからーっ！！！！！！」

俊くんのことが好き過ぎて

こうして流す涙も鼻水も、高鳴る心臓だって。

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