検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:44,447 hit

womb 5 【F】 ページ26

.




しばらくすると、Aはふわりと微笑み、顔を上げた。





「……ふふっ、私ね、太ちゃんからしたら何でも信じちゃうバカかもしれないけどね、前からずっと、ひとつだけ信じてないものがあるんだよ?それは、私が私を信じてるから信じられないものなの」






Aの表情は、なぞなぞを出題する子どものように高ぶっていた。







嬉しくて、苦しいほどに嬉しくて、今すぐにでも抱きしめて、この想いをぶつけてしまいたい。


力いっぱい奥歯を噛み締めた。







「へぇ」って気の無い返事をして、



「なんだか分かる?」って続けるAに

「さぁ」って分からない素ぶりをして、



「全然考えてないでしょ」ってむくれるAに

「しつけーな」って悪態をついて、





しびれを切らしたAが

「答えは太ちゃんの自供でしたー!」って

ドヤった表情で俺を見てくる頃には、






何もかもどうでもよくなってた。







Aの腕を引っ張って、

自分の胸に抑え込んで、





そうして、力の限り抱きしめた。








俺に追い払われたAはあれから学校に戻り、いけ好かない先生たちを成敗してくれたらしい。

いつもいつも真実を突き止めては、「太ちゃんは嘘つきだ!」って、俺の母親に抗議していたらしい。


母親から言わせたら、俺を信じる真面目なAの存在自体が、黄門様の印籠だってさ。









「太ちゃんと写真、また一緒に撮りたいな」







こんなに気持ちが丸くなったのはいつぶりだろう。






抱きしめていた腕を緩めれば、上目使いで俺を見る赤らんだ瞳。




そっと手を伸ばした。





「こんなんなるまで俺なんかのために、バカだろ」




「だって悔しかったんだもん」って、俺の手を払う。






「でも太ちゃんも太ちゃんだからね!?やってないのに何でいつもいつもやったって嘘つくっ…」






いつもより少しだけお喋りなその口を、隠しきれない愛おしさで塞ぐ。




ただガムシャラに強がっていただけの俺とは違って、自分の信じたいものを信じることのできるAは、最高に賢くて強いと思った。






「太ちゃ…」


「好きだ」






俺が今まで生きてきた時間の全て、俺はAが好きだったよ。






「……本当に?」






返事の代わりに、再びAを抱きしめた。






これから俺が生きていく時間の全ても

俺はAのことが好きだよ





そんな未来も、

Aならきっと信じてくれるだろう





【end】

love letter 1 【Y】→←womb 4 【F】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (92 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
設定タグ:Kis-My-Ft2 , キスマイ , 横尾渉   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。