womb 1 【F】 ページ22
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「ごめんっ、、、どうしてもバイトの代わりが見つからなくって」
「うん分かった。じゃあ私やっておくね」
「ありがとぉーーー、この埋め合わせは必ずするからね」
「大丈夫だよ!バイト頑張ってね」
まただ
バカが
ソイツらさっき
これから大学生と遊ぶって盛り上がってたぞ
ちらっと視線を送れば、互い違いに山積みになったわら半紙の前、相変わらず人の良さそうな笑顔を浮かべるAの姿があった。
文集委員だって押し付けられてたくせに
その上全部一人でやんの?
ため息が出るほどのバカだ。
まぁ別に
俺には関係ねぇけど
.
寒々しい放課後の教室。
窓際の一列、横並びになった机の上には、先程まで山積みになっていたわら半紙の束がページごとに順番に置かれていた。
まだ一冊も仕上がった様子はない。
たかだか二年が終わるだけだってのに
文集作りたいなんて誰が言い出したんだ?
なぜか自分の席に突っ伏したAの背中は、規則正しく上下している。
静かに近づくと、開いたままのノートには、相変わらず幼くて筆圧の低い、Aのくせ字が並んでた。
そのまましばらく、じっとそれを眺めてた。
触れたら壊してしまいそうで
なぞったら消えてしまいそうで
ただ、じっと。
「んっ………、っ、…あれ、太ちゃん?どうしたの?」
起きぬけのおっとりとした目もとに、緩んだ頬、半開きの口に、少し掠れた声。
Aをつくる全てのモノを守りたいのに、荒っぽく壊したくなる。
「別に?たまたま。つーかまだ一冊も出来てねぇじゃん」
「あぁ、うん、印刷抜けてたのあったみたいで、先生がしてきてくれるって。待ってる間テスト勉強してたんだけど…、寝ちゃってた」
「何時から待ってんの?」
「んー…、並べてたら気づいたから…、1時間以上前、かな?」
「お前バカじゃねーの?そんなん完全に忘れてんだろーが」
" 手伝うよ "
たったそれだけでいいのに
なんで俺はそんな簡単なことが言えないんだろう。
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時