palm 4 【2】 ページ21
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「あ、まぁた泣いてんじゃん。大人!のくせによく泣くなぁ、Aはっ」
悔しいから泣きやみたいのに、
恥ずかしいから強がりたいのに、
私は今、五歳も年下の弟の親友に、ぎゅっと抱きしめられていた。
「はぁ!!!?何だよそいつ!!!バカじゃねーの!!?」
うるさい声
「そんなやつさ、俺がこーしてこーして、こーーーしてやるからっ!!!」
うるさい仕草
「だからさ!!!もー"大人"はやめとけば?」
うるさい気持ち…、
「ねぇA、クソガキも悪くないと思うよ?」
うるさくて、うるさくて
もうそれ以外、何も考えられなくなってくる。
「……メリットあるの?」
そんな私の悪あがきのような質問に、少しだけ考えてから、目の前にいる学ラン姿のクソガキは言い放った。
「こうやって手を繋いでも、同級生カップルに見えるとこ!!!」
何この子…
手のひらだけは
大人みたいじゃない
すると、ニカの柔らかなくちびるが、丁寧に、恐々と、私の幼いおデコにそっと触れた。
「………っっ、はぁ?ちょっ、マジ、何してんの??」
部屋のドアが遠慮がちに開かれると、私たちを見た弟は、兎にも角にも慌てている。
「何?ねーちゃんとニカって付き合ってんの!?」
健永がニカと、もう長い間親友でいる理由が
少しだけ分かったような気がしたよ。
荒っぽいけど物事の本質をついてくる。
腹が立つけどその無邪気さに惹かれる。
そうして、くだらないプライドを大分粉々にしてから、全部全部、拾い上げてくれる。
ニヤリと笑う二階堂高嗣は、とてつもなくクソガキだけど、今の私よりは確実に大人だった。
「まーな。ってことだから、千賀お前、ひとつ屋根の下に住んでるからってAに手ー出すなよ?Aは俺のだから!!」
「誰が出すかよ!!!」なんて、困惑している健永を前に、大人ぶりたい私は、少しだけ意地悪な気持ちになる。
「ねぇ高嗣、私の彼氏になりたいなら……」
ニカの唇にキスをした。
「ちゃんと唇にしてね?」
びっくりしてるニカをみて、私はとってもあたたかな気持ちになった。
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【end】
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時