20話 ページ22
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夏油を置いて来た道を引き返すも、途中であることに気づいた。
「……同じ道、通ってね?」
そう、さっきから同じような道をずっと通っているのだ。グルグルと同じところを巡っている。
当たり前だが、夏油と2人で来た時、そんな風には思わなかった。森だから同じような木ばかりだが、これはおかしい。
「罠、か」
これは相手の術式だろうか。森を操れるような術式ならもう無理ゲー。夏油1人だしこれは詰んだ。
とりあえずこの延々とした木々から抜け出さなければ。
「術式反転・『濃墨』」
サァ、と一瞬暗闇が広がった後、そこには夏油と別れた場所が出現する。
お前ふざけんなよ!!1歩も動けてねぇじゃねぇかよ!!!
信じらんねぇ。マジかよ!!
時間を無駄にしたなとブチ切れたが、唯一の救いはさして時間が経ってないこと。メールを受け取ってから10分くらいだ。
走れば5分もかからず着くだろう。
一直線に走れば、向こうに補助監督と8歳程の男の子の姿。
「あ、おーい、_____?」
と、もう1人。
あれは…………
______私?
その瞬間に全てを悟る。
ちがう、あれは、あれは私じゃない。つまり。
「おい!!離れろ!!!ソイツは呪霊だ!!」
出せる力の限り叫べば、驚いたようにこちらを見つめる補助監督と目が合った。
次の瞬間。
偽物の私が、男の子に向かって手を伸ばす。
そして、私が結界を貼る暇もなく。
ブシャッ
「_____っ!!!」
倒れたのは、補助監督だった。
私の声に気づいた補助監督は、咄嗟に男の子と偽物の私の間に体を割入れ、瞬きをする間もなく首を切り裂かれた。
赤い液体が勢いよく吹き出す。
男の子は補助監督の返り血を浴びて、真っ赤に染まった自身の顔に触れ、恐怖で呆然と立ちすくんでいた。
「クソっ…!!」
あと一歩、あと数秒早く結界を張れていれば、補助監督は死ななかったのに。
男の子を殺そうと手を伸ばした偽物の私は、すぐに結界が張られて触れられないことに気づいたのだろう。
こちらを振り返り、一言だけ残してから姿を消した。
"お前の後輩も、もうじき死ぬぞ"
____ああ、最悪だ。
今日の任務は、過去最高の呪霊と戦わなければならないらしい。
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みたらし(元三日月) - 面白かったです!笑える所、ヒヤッとする所…最後にはやっぱり闇落ちしてしまうのかなんて思いましたが、夏油と夢主ちゃんの最後の会話で感動しました…でもやっぱり「最凶」なんだなーと…w夏油推しにはたまらない作品でした!他の作品、これからも応援してます! (2022年3月17日 15時) (レス) @page47 id: 122f030fb9 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - さわさん» さわさんコメントありがとうございます!助けられないかもしれない、と思わせてからのどんでん返しをしたかったので、それが伝わってとっても嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります! (2021年9月6日 8時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - 今更ながらコメント失礼します!夢主が原作は変えられないと気付いた所は本当に辛くて顔が歪んだのですが最後まで読み本当に嬉しくなりました。これからも頑張ってください! (2021年8月25日 19時) (レス) id: 2994709d1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナこ餅 - 完結おめでとうございます。この作品は今まで見た中で1番面白いです。ちゃんと説明もついてますしなにより矛盾してる点などが無いので!これから他作品も見させて頂きたいと思っておりますが、頑張ってくださいね! (2021年5月9日 7時) (レス) id: 5b0fda8cd6 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - なな。さん» ななさん、最後まで読んでくださってありがとうございます〜!!戦闘シーンは大分キツくて何度も心が折れかけたのでそう言っていただけるととっても嬉しいです泣 これからも頑張ります、応援ありがとうございます!! (2021年3月6日 20時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅。 | 作成日時:2021年2月6日 21時